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足元の原油反発の背景~サウジの8月輸出削減が材料視?!

7月24日月曜にロシアで開催されたOPEC加盟・非加盟国で構成する減産合意の
遵守状況を監視する共同閣僚級監視委員会(JMMC)において、

サウジアラビアのファリハ・エネルギー相が8月の原油輸出を
日量660万バレルと、前年を約100万バレル下回る水準に制限すると表明。

この会合では他にも減産合意の適用を免除されているナイジェリアの
産油量が日量180万バレルに達したら生産を制限することに合意した
ことなども材料視された、との指摘もありますが、

原油価格はこれを受けてから上昇中。

※WTI原油価格

WTI
サウジが輸出量を削減するとしたことが、相場の押し上げ要因として大きかった、という指摘もあるのですが、、、

NY商品、原油が反発 サウジの輸出削減とナイジェリアの生産抑制を好感
http://www.nikkei.com/article/DGXLASQ2INYPC_V20C17A7000000/

この記事にも
「OPEC最大の産油国サウジが需給改善に向け積極的な姿勢を示し、今後も需給対策が進むとの観測が広がったようだ。」

とあり、この論調で足元の原油上昇を説明する記事、コラムが
多く見られますが専門家にお話を伺うと、事情は違っているようで…。

実はこの時期、サウジは冷房需要によりエネルギー消費が急増するため、
原油の生焚(原油やNGLをそのままボイラー燃料として使用すること)でそれらに対応する必要があるのです。

サウジでは国内電力の大部分を石油火力発電で賄っています。
天然ガスがでないので、原油を生焚して発電するんですね。

近年はサウジは国内のエネルギー需要向けに消費される割合が増え、
2015年には産油量全体の25%が国内向け。
内需が高まっているんです。

ということでサウジは6~8月の大幅減産は不可能な構造にあり
電力需要の急増で生焚原油が約70万b/d必要となります。

つまり、「輸出を減らす」というのは
原油の内需増に対応したものなのです。
輸出に回す分は国内消費に回っているというだけ。
決して、積極的に価格を押し上げようと輸出削減を表明したわけ
ではないのです。これを
「サウジが需給改善に向け積極的な姿勢をみせた」と受け止めるのは
間違い、ということになります。

だって、サウジも「8月の輸出量を削減」と8月に限定していますもの。

また、もう一つの原油高側面として、
足元で米国の原油在庫が減少傾向にある、という材料もありますが、
8月にかけては車社会である米国のガソリン需要期であるため、原油在庫減は例年のこと。
(ガソリン需要増にそなえて原油をガソリンに精製する作業がせっせと進められる)
このことも、恒例行事のような現象ですから、決してエネルギー価格の押し上げ材料ではありません。
例年通りになるなら8月半ばからは原油在庫も再び積み増しされるものとみられます。

しかし、今年は例年より在庫減少が大きいことを指摘する向きも。
実は、米国の原油輸出量が急増しているのです。

米国の原油輸出先は中国やインドです。

なんとSPR戦略備蓄まで減少しています。
SPRは2月まで6億9500万㌭あったものが
3月から減少に転じ7月14日現在では6億8900万㌭に。

トランプ大統領は原油在庫は多くは必要ない、
輸出して外貨を稼ぐべきであると発言していましたが、
それを実行に移している、ということでしょう。

対して中国への中東からの輸出は減少しています。

サウジの輸出減は、
米国からの輸入量が増えたために、
サウジからの輸入を減らした中国の影響があったとみられます。

つまり、シェアを米国に奪われたためにサウジの輸出が落ち込んだ、
ということでもあります。

原油価格下落の裏で、シェア獲得競争は激化しているということ。

ですから、サウジの輸出量削減が足元の原油高というのは
ちょっと違う。ではなぜ原油価格は上昇しているのか?!

これは次回、考察してみます。

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