日本フィナンシャルセキュリティーズ

インフレとゴールド、リスク回避とゴールド

[大統領選によって市場にノイズ(雑音)が生じた。]

ゴールドETF、SPDRゴールド・シェアを運用する金戦略責任者の言葉。
1200ドル割れとなったゴールド下落は果たして「ノイズ」なんでしょうか。

金急落、トランプ相場の不確実性注視 米ステート・ストリート責任者 
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO09936880V21C16A1000000/

インフレ期待の高まりが金利の上昇を招き、ドル高を招いたために
ゴールドが下落したわけですから、マーケットはトランプ氏の掲げる公約に
敏感に反応した言えますが、では、このインフレ期待も剥落するということでしょうか。
すなわち、金利は再び低下するのか。

その意味では、ブラックフライデーからスタートするクリスマス商戦で
米国の個人消費が注目されるんじゃないかしら。
トランプ政策への期待が本物であるならば、期待と楽観から一段と消費拡大が
意識されるわけですが、もし、予想ほど振るわないということであれば
行き過ぎたインフレ期待も落ち着きを取り戻す(金利低下)となるでしょう。

まずは確りと足元の経済指標の改善がみられるか、
期待が実体経済改善へとつながるかどうかが問われる局面で、
それが確認される過程で、金利上昇、株高が是正されるならばノイズだったと言えましょう。
クリスマス商戦の数字はかなり重要と考えています。

話は変わりますが、
「インフレヘッジの金」という投資の考え方があります。

通貨価値が下がればおのずとゴールド価格が上がるという相関性を考えれば
何の不思議もない見方ではありますが、

よくよく考えるとインフレ下においては株も不動産も上昇しており、
株とゴールドが逆相関であるならば、この考えでの金高は見込めないことになります。

現在起こっていることは、インフレ期待の高まりですが、
金利が上昇しドル高となったことで、実際にはゴールドが下がっていますね。

インフレと金の相関というのは、インフレ期待の高まりという初動と
実際にインフレが進行していく成長期とでは、異なるということでしょうか。

インフレとゴールドの相関、ちゃんと検証していないのですが、
確かに2000年代、米国の株、不動産が長期上昇し
サブプライム、リーマンではじけ飛ぶ直前、金も一緒に上昇していました。

ドル建て金価格は2000年前後は200ドル台だったのですが、
サブプライムで金融危機混乱が起きる前の2008年3月には1000ドルまで
およそ5倍に上昇しています。この時は米国が利上げサイクルにあったにも
関わらず、金が上昇していました。インフレと共に金が上がっていた時代です。

この背景には中国の台頭があったとも言われていますし、
99年に中央銀行が金価格の維持を目的に金売却量を制限したワシントン協定の影響もあるでしょう。
加えて、ゴールドETFという新しい商品が誕生して、機関投資家らがゴールド投資を
しやすくなったことによる資金流入などなど・・・・様々な外部要因が絡んでいるので
一概にインフレとゴールドが相関していたとは言えないのですが。。。

とはいえ、インフレ期待が期待でなくなって、本物のインフレ時代が到来し、
金利も上昇、株も上昇、景気が良くなった暁には
ゴールドにも資金が回ってくるんだと思いますが、
期待先行の今は、これまでゴールド市場に滞留していた資金が
勢いよく株や不動産に向かうのでしょう、しばらくは金は軟調かと思われます…。

ただ、今週5日にはイタリアの国民投票にオーストリアの大統領選挙などの
欧州リスクが。ポピュリズムの台頭がどのような結果をもたらすかによって、
ふたたびリスク回避の金、という意味での上昇は見られるかもしれません。

直近では、インフレヘッジの金での上昇よりもリスク回避の金の上昇の
可能性のほうが大きいのだと思います。