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原油急落の5つの背景~政治、需給、ファンド動向

原油価格が急落しています。

WTI原油


原油下落の要因は大きく5つ。

①需給の緩み~米国、OPECの生産増続く

②米株下落で景気先行き懸念(需要減退)

③サウジ、ジャーナリスト殺害問題で増産へ?!

④トランプ大統領、中間選挙対策

⑤ファンド勢、ロングポジション解消続く


まず足元のデーターから。

23日発表のAPI(アメリカ 石油協会週次原油在庫)発表の米石油在庫

原油 990万バレル増
ガソリン 280万バレル減
石油精製品 240万バレル減

米国では、ガソリン需要期が終わり、暖房油の本格的需要期入りまでの端境期。
ということで秋場の製油所のメンテナンス作業時期に突入しています。

ということで原油処理量は低水準に留まるため
輸入量が比較的少なくても在庫は増加してしまいます。
全米の原油在庫は4週連続で増加しており、
直近3週の増加幅はいずれも500万バレルを超えています。
WTI原油先物の現物受け渡し地クッシングの原油在庫も4週連続増。

製油所での原油精製処理が進まなくなれば原油在庫は増加傾向となるのは
当然のことで、驚くような数字じゃないんですが、
この影響で、例年今時期は原油価格が下がりやすい傾向があるんですね。

24日発表のEIA(米国エネルギー情報局) の週間在庫統計でも
米原油在庫は634.6万バレル増、予想の369.4万バレル増を上回る在庫増でした。

ただ、この時期の在庫増は季節要因で例年のことなので
下落の主因ではありませんが、原油価格にとっては弱材料ですので
センチメントが弱い中でのこの数字の発表は下落を加速させる一因ともなりました。

①需給の緩み~米国、OPECの生産増続く

米シェール、原油の救世主なれず(The Economist)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36808120T21C18A0TCR000/

米国の産油量は今年6月、全世界の原油生産量の13%を占めた。
この比率は08年6月からほぼ倍増しており、今後さらに伸びるとみられる。


増産しているのは米国だけではありません。
OPECの産油量も増加が続いています。
5月の産油量は3212.9万バレルでしたが、9月は3276.1万バレル。
この間47.9万バレルもの生産増となっています。

この間、米国が同盟国にイランとの原油取引停止を求める再制裁に
踏み切ることからイラン産原油は34.6万バレルも減少しているのですが
武装勢力に制圧されていたリビアの生産が復旧していることで
同期間リビアだけで43.7万バレルも増産しており、
イラン産原油の供給不安を材料に原油を買う、というのは
材料としては整合性がとれないディールですね。


②米株下落で景気先行き懸念(需要減退)

米国シェール革命で、米国は原油輸出国となりました。
シェール企業は社債を発行し資金調達しており、ハイイールド債市場に
異変があると、シェール関連企業の資金繰りに影響が及ぶとされています。

ハイイールド債市場だけでなく、昨今では原油を対象としたETFや投資信託など
大衆化された投資商品が広く普及しており、原油はコモディティという側面と
「金融商品」という側面からの分析が必要となってきています。

つまり、原油の需給だけでなく、ハイイールド債市場や、株式市場に異変があれば
原油価格が動いてしまうという相関が高まっているということですね。
ちなみにエクソンモービル、シェルなどはダウ構成銘柄。
原油生産、輸出国である米国にとってはエネルギー価格が高い方がいい時代へと
変わってきていますので、株価下落と原油下落が相関することが増えていますね。

ということで、足下の米株下落が原油下落を誘引した可能性は否定できません。

※ダウとWTI原油価格推移 同じタイミングで動くことも増えた

原油ダウ相関

③サウジ、ジャーナリスト殺害問題で増産へ?!

ここからは政治。

サウジアラビアのファリハ・エネルギー相はリヤドで開催している投資会議
「砂漠のダボス」で、産油国が相場の安定化に向けて
日量100万─200万バレルの増産を行う可能性に言及しました。

また、11月4日に再開される米国のイラン制裁で供給に混乱があっても、
顧客のいかなる需要も満たす用意があることを明らかにしており、
12月に協調増産延長で合意することを望んでいると表明しました。

中間選挙を控えたトランプ大統領から、繰り返し増産要請を受けていた
サウジアラビアですが、9月のOPEC総会ではこの要求を退けていました。

ここにきて、増産受け入れ表明。
この背景にカショギ記者殺害を巡る国際情勢の厳しい目と
米国に歩み寄る、、、というか、恩を売る作戦でしょうか。
増産に応えるだけで、制裁を逃れられるかはわかりませんが…。

トランプ大統領はサウジ制裁に関しては議会の判断にゆだねるとしていますね。
トルコに証拠を握られているようですし、トランプ大統領もかばい切れない様で。。。

制裁を逃れようと、サウジは増産に応えるというわけですが
事件発覚当初、トランプ大統領が殺害が事実なら制裁すると発言した直後に
制裁するなら原油をカードに報復すると応じていましたが、
証拠を握られ、外堀が埋まる中、歩み寄るしかなくなったのでしょう。
報復のニュースが出た直後は原油価格が急騰する瞬間もあったのですが、

サウジは報復に出ることは難しく、
米国の要請に応えるしかなさそうです。
ということで原油はこれから需給がタイト化するよりも
緩和に向かう方向にあると考えられます。


④トランプ大統領、中間選挙対策

トランプ大統領が10月9日、
エタノール比率が最大15%のガソリン「E15」に関する夏季の燃料供給規制の撤廃を
環境保護局(EPA)に指示する覚書に署名したと発表しました。

※エタノール 主にとうもろこしやサトウキビなどから製造されるエネルギー
ガソリンの65%の発熱量(体積あたり)しかありません。

現在、バイオエタノール 10%混合(E10)が米国内市場の大勢を占めていますが
この混合比率を高めることで、トウモロコシのエタノール向け需要が増加する効果が
得られるとともに、エタノール混合比率が上がることで、ガソリン価格を
引き下げる効果が得られる、、、という狙いがあるものと思われます。


ガソリン価格高騰が自動車社会である米国経済にはネガティブであることから
トランプ大統領はサウジなど産油国に増産要請をしていましたが、
この署名が発表されることへの

トウモロコシ価格は5年連続の豊作続き。今年も豊作の見込みです。
これは大豆も同じ。米中貿易摩擦の影響で大豆価格はさらに売り込まれています。
トウモロコシ価格が上がれば農家はトウモロコシ生産に切り替えるものとみられ、
農家にとっても歓迎の政策でしょう。

この時期に署名は、中間選挙対策でしょうね。

署名は10月9日ですが、この話が飛び出したのが10月3日でした。
環境保護庁(EPA)と運輸省道路交通安全局(NHTSA)は9月24~26日にかけて
開催した公聴会にて話し合われたようで、メディアに出てきたのが3日。
署名が9日、スピード感あふれる措置ですが、原油、ガソリン価格が下落に転じたのが
10月3日です。このニュースに反応した可能性も大いにありますね。

⑤ファンド勢、ロングポジション解消続く

投機筋は昨年夏前から、原油先物市場で原油のロングポジションを
積み上げてきました。この投機筋らのロングポジションは今年の春先から
減少に転じており、価格とのダイバージェンスが続いていました。

建玉明細http://trend-line.co.jp/rand/zaiko/cftcdate.htm

投機筋が買いを減らす中で価格の上昇が続いていたのです。
これが10月に入ってようやく同じ方向に動きだしたということですね。
10月からは新規ショートも増えてきました。

しかしながら最新のファンドポジションを確認してみると
前週比で3万4000枚も買いが減少しているものの
まだ49万枚もの買い越し状態にあります。

ショートが増えてきたのも足下の3週間だけです。
ロングの手仕舞いもこれから本格化し、ネットポジションの減少が
さらに続くなら、原油価格はまだ下落が続くと考えられます。


さて、これだけの売り材料が揃って、ようやく下落してきた原油ですが
まだ下落トレンド入りしたのかどうかはっきりしません。

※WTI原油日足 200EMAがサポート

WTI原油
原油相場は200EMAが価格のサポートとして機能しています。
、、、ちょっと割り込んだかな

ここで下げ止まって大きく上がるでしょうか。
相関性の強い米株が200EMAをサポートできずに大きく崩れてきました。
株価との相関で考えれば、原油もサポートできずに崩れるリスクがあるかもしれません。

昨年夏からの上昇トレンドのフィボナッチリトレースメントでは
38.2%押しが63.61ドルです、このポイントは6/18の安値とぴったり符号。

200EMAがサポートできなくても、次は63ドルミドルでは下げ止まりそう。
ここで止まらなければ、半値押しの60ドル割れ、
59.50ドルくらいまでの下落リスクが。

足下は63ドルくらいまでの下落に備える相場となりそうです。
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