日本フィナンシャルセキュリティーズ

揉みあいに入った原油相場、次なる展開は。。。

原油価格が足元もたついています。
12月の底値からは、米株と共に反発してきたのですが、
1月半ばから下値は切り上がってきているものの値動きが地味。

市場を取りまく弱気材料、強気材料を整理してみました。

◆ベア(弱気材料)

①米国シェール大増産中

米国の原油生産量は1月25日、日量1190万バレルを記録。
過去最高日量を更新中ですが、
EIAは2019年、米国産油量が日量1,960万バレルにも上ると予想
ひえ~あっという間に2倍近くの生産を達成させちゃうかもしれません。

シェールの生産コストは40ドル台にまで落ちてきており
50ドル台で推移していれば利益になる状況。(場所によって違いはありますが)
ダボス会議に出席したロシアの投資ファンドCEOは
「米国のシェールオイルを減産させるためには原油価格を40ドル以下にする必要がある」
と発言していますが、40ドル以下にすれば産油国全体に大きなダメージとなるだけでなく
世界の金融市場がクラッシュしかねません。

※他方、OPECとロシアなど非OPECが1月から日量120万バレルの減産を実施しています。

サウジが減産しても、その減産分は米国が補完。
つまりサウジのシェアを米国に奪われていくだけ。

ロシアはシェアを失いたくないため、減産に消極的。
ロシアはOPECプラスでの合意の基準である昨年10月の日量1142万バレルから1119万バレルまで
減産する必要がありますが、1月中旬までの原油生産量は日量1139万バレル。
わずか2万バレルしか減産してません。


②世界景気減速で原油需要鈍化懸念

国際通貨基金(IMF)は今年の世界経済成長率見通しを従来の3.7%から3.5%に下方修正。
中国の成長率も6%台前半に低くなると予想される中、5%台の可能性も提起され始めています。

米国がせっせと原油を生産しても、それが売れずに在庫になってしまうようだと
原油価格は下落するリスクですね。

米国は昨年11月に原油の純輸出国に躍り出ています。
米中貿易問題で双方の国力の低下をもたらすリスクがあるだけでなく
中国が原油輸入先を多極化する動きが出ており、
これは米国産原油の余剰感につながらなければ、、、との懸念も。

世界の石油・ガス市場構造が大転換した2018年
http://blog.radionikkei.jp/trend/2018_16.html

音声はこちら
http://www.radionikkei.jp/podcasting/trend/2019/01/player-2019130.html

 

◆ブル(強気材料)

①ベネズエラの原油輸出減

米国による対ベネズエラ制裁発動で最盛期には日量300万バレル近い生産量であったが
2018年12月には114万8000バレルまで減少(OPEC月報より)

トランプ政権は1月28日にも国営ベネズエラ石油(PDVSA)を制裁対象に指定するなど
制裁を強化、これでベネズエラは原油の対米輸出が不可能となります。

※独裁的指導者ニコラス・マドゥロ氏への資金源を断つことが目的。

ボルトン米大統領補佐官は、この制裁でベネズエラの資産70億ドル(約7600億円)が凍結され、
同国輸出は向こう1年間に110億ドル減るとしています。

ベネズエラって、中国が巨額投資していた国です。

コラム:中国の「大誤算」、ベネズエラ混迷で巨額投資があだに
https://jp.reuters.com/article/venezuela-china-breakingviews-idJPKCN1PO097

というのも、世界最大の石油埋蔵量を誇るのがベネズエラだから。

投資資金が潤沢で技術開発が進めは世界最大の
原油生産量となる可能性を秘めているということになりますが、
米国による制裁などで、ベネズエラは資金難に陥っておりベネズエラの生産量は
減少の一途をたどっているというのが現状です。

中国はこの10年で総額500億ドル以上(約5兆4600億円)を
ベネズエラに投じているのですが、最初の誤算は80~100ドルで推移していた原油が
2015年に急落し20ドル台にまで落ち込んだことにあります。
ベネズエラだけではなく、産油国の原油による外貨獲得は大幅に減少することに。
よって投資資金の返済にも困窮、焦げ付きのリスク増大。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、
米国の制裁がベネズエラの石油産業を「破産」させ、
世界市場に深刻な影響を及ぼす恐れがあると書いています。
これが今年の原油価格を押し上げる最大のリスク。

OPECとロシアなど非OPEC、2019年1月から日量120万バレル減産計画

1月のOPEC産油量は3098万バレル(前月比▼93万バレル)2年ぶり大幅減となりました。
 サウジが減産主導した格好。
 OPEC加盟国の減産割り当ては日量80万バレルですので
 計画より積極的に減産したようです。
 
 減産合意からはイラン、リビア、ベネズエラの3カ国が適用を除外されていますが、
 これらの国の産油量は計画的に、というより意図せずに減少したことも背景。
 
 ベネズエラは上記記載。
 リビアは内情不安で油田の稼動が停止。
 イランは米国の制裁措置で消費国が輸入を控えたことで減少。
 
 他方、イラク、ナイジェリア、アルジェリアの産油量が合意水準を超えており
 OPECの減産遵守率は70%といったところのようです。

③サウジアラビアが2月から6カ月間、更なる原油減産を計画

サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資相は1月28日、
「1月の日量1020万バレルを、来月からは1010万バレルに減らす」
「サウジは、OPECで合意された自律的産油制限量を大幅に下回る量を
 6ヶ月間に生産する予定だ」と述べました。
 
サウジはシェアを奪われるだけ、、、ということを承知しながらも
減産で価格を支えなければならないところまで追い詰められているんでしょうか。

※WTI原油価格日足
原油
買い材料、売り材料が混在する中、原油価格はもみ合い中ですが、
わずかに、もみ合いを上に放れてきたようにも見えます。

そう、ブル要因としては金融要因があげられますね。

米国の金融政策は引き締めのペースが緩められるのではないかとの思惑が広がっています。

1月FOMCでFRBパウエル議長が、「(今後の)利上げには辛抱強く」と利上げ停止を示唆、
「バランスシート縮小も柔軟に」とバランスシート正常化ペースの見直しを示唆。

これは金利低下をもたらすので、ドル安政策への転換とも受け止められます。
ドル安は、国際商品価格にとっては買い材料。

思えば12月クリスマス時期に向けての株の急落、原油の急落は
12月FOMCでのパウエル議長のタカ派的スタンスが嫌気されたものでした。
これを慌てて修正した、と受け止められても仕方ないでしょう。
金融政策の引き締めが緩むなら、リスクオンです。
足下、米株が堅調なのはこれが背景。

※ダウとWTI原油 ダウの上昇にも原油が遅れている?! 水色がダウ、黄色が原油
ダウと原油

高い相関性があるため、どちらかが寄せていくはず、、、

原油は押し目買いかな。