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プラチナ上昇の背景に中国国策か?!EVからFCVへ

底入れ期待が高まるプラチナ市況、現在調整局面ですが、まだまだ始まったばかりです。

※ドル建てプラチナ

プラチナ
前回のブログで

「プラチナ覚醒か?!パラジウムが下落する中プラチナETF市場に資金流入」
https://www.shouhinsakimono.com/expert/blog/ohashi/127082/

「ひょっとしたらプラチナの需要が期待できるニュースがあとから出てくるかもしれません。
早耳筋がETFに資金を入れているという可能性も、、、あ、これはポジショントークですが。

水素自動車が主流となればその可能性がないわけでもない、、、のですけどね」

と書きましたが、調べてみたらまさにこれがトリガーじゃないかと。

中国が次世代自動車生産の主軸をEV車から燃料電池車、
いわゆる水素自動車に政策転換した模様。

あ、言葉の整理を。水素自動車=燃料電池車=FCVです。
以下バラバラに引用、表記しますが、全部同じです。

中国新エネ車の補助金削減 水素自動車にシフト 李首相の昨年トヨタ視察がきっかけか
2019年04月04日
https://www.epochtimes.jp/2019/04/41676.html

3月26日、新エネルギー車の補助金政策に関する通知を公表した。当局の支援対象がこれまでのリチウムイオン電池を使った電気自動車(EV)から水素自動車へ方針転換したことが明らかになった。

・EVの補助金を50%以上削減
・補助金支給対象となるEV車の1回のフル充電の走行距離を
 2018年の150キロから250キロに引き上げ。
・2021年には補助金制度を完全に廃止。

中国当局は新たに、水素自動車に関する補助金政策を発表する予定。


これ、トヨタの燃料電池車MIRAIに刺激されたみたいよ。


昨年5月李克強首相が日本を訪問、トヨタ自動車北海道工場視察。
「MIRAI」は、3分間水素充填をすれば、650キロの走行が可能。

李首相は帰国後、「水素燃料電池連合小組」を設置。
中国メディア・華爾街見聞は昨年11月
「2018年は、中国水素燃料電池元年だ」と報道。

2019年3月全国人民代表大会と全国政治協商会議での「政府活動報告書」では
「(EV)充電ステーションと水素ステーションなどのインフラ建設を推進」に言及した。


水素自動車って、プラチナを大量に使うんです。

現在のディーゼルエンジン車に使用される触媒としてのプラチナは
1台あたり3〜6グラム程度。

現在プラチナ価格が1g3100円程度ですから
総コストは3100円×6gとして18000円くらい。

ところが、水素自動車となるとこの使用量が大きく跳ね上がります。

これはTOCOMのページ

白金の商品知識 第6項 燃料電池
https://www.tocom.or.jp/jp/guide/study/textbook/preciousmetals/preciousmetals3.html

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2008年の報告では
燃料電池車1台に使用される白金量、
小型車(80kw)1台あたり32g
中型車(150kw)1台あたり60g
大型車(250kw)1台あたり150gと推定されている

1台あたり平均100gの白金を使用するとすれば、
世界の自動車生産量(2012年)8,410万台に対して8,410トンの白金が必要。
しかしながら2012年の世界の白金生産量は175.4トン、
世界の燃料電池車需要の2%程度の供給量であり、
供給不足による高コストも燃料電池車の普及阻害要因。

3100円×100gだと燃料自動車1台に占めるプラチナ価格は
31万円にものぼります。そりゃ燃料電池車は高くなりますね。

これまでは白金をめっちゃ使うから燃料電池車は高コストである、
として普及は難しいという風に思われてきました。

しかし、EV自動車はどうでしょう。
燃料電池車よりは安価に生産販売できるかもしれませんが

バッテリーの劣化が速いという問題、
充電に時間がかかるという問題、
そして広く普及した際の急速充電による発電所ダウンリスクなど課題も多いのが実情です。

EVの最大の問題はバッテリーじゃない
https://tmiyadera.com/blog/963.html
EVの充電はドライヤー60個に相当。発電所がダウンする?

電気はただじゃありません。
現状では広く普及していないので問題にもなりませんが
世界をEV車が占有することとなれば、急速充電による電力供給問題は深刻です。

ということで、次世代自動車を担うのはEV車と思われてきましたが
EV車にもいろいろ問題はあります。

そして、燃料電池車はプラチナ価格が上乗せされる分も考えると
まだまだ車体価格が高いことが普及を阻んできた側面がありましたが、
EV自動車は結局、車体価格の占有率が高いバッテリーの劣化によって
買い替えサイクルが早くなることを考えると、長い目でみれば
かなりコストが嵩むことになります。

燃料電池車の価格がもっと安価にできれば、こちらが標準となっても
おかしくありませんね。中国は補助金を出して普及に努めるようですし、
世界の自動車メーカーも技術革新により、
プラチナ使用量を減らすことに成功しているようです。


VW、次世代の燃料電池車向け技術を開発…大幅なコスト削減が可能に 2018年9月28日
https://response.jp/article/2018/09/28/314465.html

トヨタがこだわる燃料電池車の未来、増産へコスト削減 2018年7月26日.
https://jp.reuters.com/article/toyota-fcv-idJPKBN1KG0XW


特に高額な白金は使用量を「10-20%減らしても同じ性能を発揮できる」(トヨタ子会社キャタラーの市川絵理氏)技術に成功している。

フォルクスワーゲンは今回、次世代の燃料電池車技術を米国のスタンフォード大学と共同開発。両者は、貴金属のプラチナの使用量を減らした次世代の燃料電池触媒を開発することに成功した。

ということで、車体価格を抑えることに成功できて、
水素補充のインフラが拡充できれば、EVではなくて
燃料電池車が将来主流になるかもしれません。

日本も動き出しています。

燃料電池車を低価格化=水素利用拡大へ実行計画-経産省会議
https://trafficnews.jp/post/84332

経済産業省の有識者会議は12日、二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして期待される水素の利用拡大に向けた実行計画「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を改定した。水素で動く燃料電池車(FCV)の価格を2025年までに大幅に引き下げ、普及を目指すことなどが柱。


・25年までにFVCとハイブリッド車との価格差を70万円程度にまで縮小させる

・燃料電池の製造コストを4分の1まで下げる

 
2018年末時点のFCVの国内普及台数は2926台。
20年までに4万台程度、25年までに20万台程度の普及を目指す。

全国で約100カ所にとどまっている燃料を補給する
水素ステーションも拡大させる。

水素ステーションはまだ100カ所しかないんですね。
これではまだ現実的ではありません。


というか、そもそも燃料電池車ってトヨタが世界のパイオニアだったはず、、
ですが、実は世界はもっとすさまじいスピードで動いています。

日本が先行した燃料電池車、海外企業に追い抜かれ感
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42302950R10C19A3000000/

最近になってトヨタは、20年以降にFCVのラインアップを拡充する計画を明らかにした。一部報道によれば、新モデルの価格を現行FCV(ミライ)の約700万円から半減するとされている。ただし、これで「世界に追いつける」かどうかは微妙だ。

FCトラックを開発する米電気自動車(EV)ベンチャーのニコラ・モーターも、北米に多数の水素ステーションを自ら設置する姿勢だ。22年前後には北米の364カ所、28年までに累計で同700カ所に独自の水素ステーションを設置する計画を発表している。当初の30カ所はニコラ製FCトラックを発注した米ビール大手アンハイザー・ブッシュの輸送トラックが走る高速道路沿いに建設する。

富士経済が2019年1月に発表したFCシステムの市場予測では、30年の市場は世界で約4.9兆円規模と、18年の約23倍になるとする。水素供給インフラ関連市場も含めれば市場規模はさらに拡大しそうだ。


ということで、意外や意外。
日本はインフラ拡充に後れを取っているようです。

どうやら水素タンクが破損して中身が漏れた際の爆発を警戒する声が
大きいことがインフラ拡充の障壁となっていることもあるようですが、
水素は最軽量の物質ですので、あっという間に空気中に拡散します。
ガソリンなど石油燃料の事故で爆発炎上するのと比べると
水素事故の被害は大きくないというのが専門家の間では知られている話。

こうした誤解を解いていく作業にも時間がかかるのでしょうか。
こういうのは、一党独裁の中国が国策で動き始めたら早いわよね。

ということで、中国が国策で燃料電池車普及に動き出したことが
足下のプラチナ価格上昇のトリガーかもしれません。

安値覚えで売りたくなるという方もいらっしゃるかと思いますが
パラジウムとの価格差を埋める上昇もあるのではないかしら。

プラチナは買い回転戦略で。