日本フィナンシャルセキュリティーズ

中東緊張にも下落加速の原油、在庫が…

原油上昇のトレンドは終了したようです。

※WTI原油価格
WTI

原油価格って、何を材料に動いていると思います?!

商品なんだから、需要と供給のバランス、、、が主軸でしょ?!

間違ってはいません。
毎週発表される米国の在庫統計でボラティリティが上がりますので
Tradingの材料としては需給も重要です。

しかしながらアメリカのシェール革命以降、金融要因も重要になってきました。
NYダウの構成銘柄にはエクソンモービルやシェブロンなどの石油関連株が含まれますし
なによりシェール企業は社債を発行して資金調達し、
シェールオイル掘削を実現させているのです。

また、企業は社債を発行し借金で自社株買いをしていますが、
特に利回りの高いハイイールド債、これはジャンク債とも呼ばれますが、
この市場のうち10%ほどをシェール企業が占めているのです。

シェール企業は原油価格が高いことで利益が得られる構造ですが
このところは技術革新でWTI原油価格50ドル台で採算が合うようです。
革命が起きた2008~9年は70~80ドルないと掘れないと言われていたので
随分生産性が向上したものです。

米シェール企業は採算がとれるなら生産を増やしますね。
しかし原油価格が採算割れとなると、ジャンク債市場に及ぶ影響が懸念されるだけでなく、
この市場が健全であるからこそ上昇を続けている米国株にも暗雲が漂うこととなります。

つまり、ハイイールド債市場と米株市場、そして原油市場は
一蓮托生の関係になっているということです。

それが証拠に下落率は異なっても、天井、大底付けるタイミングが完全に一致。

※ダウと原油
dau WTI

2018年10月3日の高値、12月24日の大底、4月23日のトップアウト
ダウと原油は同じ日なんですよね。

そして、足下では原油が先行してズルっと下げてきています…。
今回は下げるスピードが原油の方が早いですね。
株安が原油安を誘引したわけではなさそう。

※WTI原油は200EMAを割り込み、一目均衡表の雲がギリギリ支えている・・・
WTI

※ダウ まだ200EMAが何とか支えていますが、、、

ダウ
ということで、米株が原油に追随して下げるんじゃないかとみているのですが
何故、中東リスクが高まっているのに原油価格は上がらないのでしょうか。

5月12日UAEのフジャイラ沖合で、サウジアラビアのタンカーなど2隻、
UAEの船舶1隻、ノルウェーの船舶1隻が水中ドローン妨害を受け損傷。

5月14日:サウジアラビアの油田と港をつなぐ原油パイプライン施設2カ所が、
爆発物を積んだドローンにより攻撃されパイプライン閉鎖。
イエメン内戦でサウジアラビアと対立するシーア派反政府武装組織フーシ派が犯行声明。

5月15日:サウジアラビアをはじめとするアラブ連合軍、イエメンの首都サヌアなどで
フーシ派の拠点に対する大規模な空爆を実施。

5月19日:イラクのバグダットの政府機関や米大使館が集中する地域にロケット弾

5月20日:サウジアラビアのイスラム教の聖地メッカに向けて弾道ミサイルが発射

米国は中東に空母を派遣しています。

5月に入ってこれだけ紛争リスクが高まっているのに、
原油価格はあまり上がらず、5月22日から原油価格は大きく崩れ出しました。
地政学プレミアムで上昇したのはわずか2~3ドルでしたね。

これは攻撃を受けたタンカーには原油が積まれていなかったこと、
サウジのパイプラインも翌日には復旧したことなど
実際には原油の供給に実害が出なかったことが一つ。

そして、今、トランプ大統領が訪日中ですが
日米首脳会談冒頭、イラン情勢に関する質問が出た際
トランプ大統領は、「安倍総理とイランきわめて緊密であることを理解している。
イランが我々と話す用意があればそうしたい。誰も恐ろしいことが起こるのを見たくはない」
と述べています。

トランプ大統領、安倍首相のイラン訪問支持-仲介役として
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-27/PS565OT0G1KW01

つまり、トランプ大統領も戦争は嫌なのです。
これをマーケットは織り込んでいるんじゃないかという気がします。
中東開戦リスクはそれほど高くないと。

となると、株価との相関か、最終的には原油の需給に回帰してくるわけですが
米国の原油在庫は足下で積み上がるトレンドにあるんですね。

※EIA原油在庫 https://www.nissan-sec.co.jp/market-research/supply_and_demand/oil-stock/
EIA原油在庫

今、足下では原油の需給が主役となっているようですね。
需給といってもOPECの減産など供給側のニュースが価格を大きく動かすことが
多いのですが、どうも今はOPECの協調減産よりも米国在庫に注目が
集まっているようです。つまり、景気後退リスクが主軸となりつつある、
ということではないでしょうか。

※WTI原油フィボナッチ
フィボ

ただし、昨年12月24日の底値からの上昇に対し38.2%の調整でピタリと
止まっていますのでここで下げ止まれるかどうか。
注目ですね。

TOCOMの原油ですが、足下の円高と相まってちょっと下げ過ぎ。
いったん売りは買戻して、再度売り場探しです。
一目の雲を下抜け、RCI長期線も下降ですので、戻り売りでイイと思っています。

※TOCOM原油
TOCOM