日本フィナンシャルセキュリティーズ

2018年原油急落の影響で苦境にあえぐ米シェール企業

原油価格はレンジ相場に入ってしまったようです。

昨年10月の高値から12月クリスマスに向けての急落は、
原油市場に限ったことではありませんでした。
米株が同じように下落していましたので、
原油と米株の相関性の高さが改めて確認できたのですが
足下では米株が史上最高値を更新する強さを見せているというのに
原油市況は上値が重いですね。

これは株式市場がFRBの利下げ期待を織り込んで
金融相場の様相を呈しているのに対し、
やはり原油はコモディティである、ということを表しているとも言えます。

OPECプラスが減産延長で合意しても、米国生産は伸び続けており
足下で原油時給はほぼバランスしています。
中国はじめ世界の景気の先行きが懸念されているのですから
(だから利下げ期待がたかまっているわけです)
エネルギー需要の伸びが鈍化するとの警戒が強いということでしょう。

※WTI原油 昨年の急落のちょうど半値付近でもみ合い長期化?!

WTI
ただし、原油と米株の相関性が全くなくなったかというとそうではありません。
細かく見れば影響しています。


16日火曜の米国市場では

ポンペオ米国務長官がホワイトハウスで行われた閣議で
「イランが初めてミサイル開発について交渉する用意があると話した」と発言。
トランプ大統領も「大きな進展がみられる」と述べ、対話の実現に期待を寄せる発言を
したことで、中東を巡る緊張が緩和するとの思惑がから原油は3%を超す下げとなりました。

原油市場にとっては「地政学リスク」の後退で地政学プレミアムの剥落
ということになりますが、エクソンモービルやシェブロンなど
石油株の売りにもつながりました。
これが米株の上値を重くした側面もあろうかと思います。

また、これはエコノミスト、エミン・ユルマズ氏の7/13のTweetですが
エミンTweet

https://twitter.com/yurumazu/status/1150174222397820929

米シェール企業の株価が、、、?!

何が起きているのでしょうか。

先週、ラジオNIKKEIマーケット・トレンドの番組に
エネルギーアナリスト大場紀章氏にご出演した際に伺ったのですが

第1四半期の米シェール企業の決算は
調査した40社のうち36社がネガティブキャッシュフロー。
シェール企業は200社近くありますが、今年すでに8社が倒産、
あるいは倒産の危機に瀕しているそうです。

この背景には2015年のチャイナショックと呼ばれたマーケットの急落局面で
原油価格が30ドルをも割り込むまでに下落した際に
150社ものシェール企業が倒産に追い込まれたことに起因しているとみられ
投資家らはそのトラウマからシェール企業への投資に
慎重になってしまっているというのです。

米国のシェール企業による原油生産量ですが、
その増産量は2018年の前年同月比220万バレルをピークに徐々に減ってきています。
また、シェール企業のシェール生産動向を見るうえで指標とされている
掘削リグ稼働数も2018年11月の887基をピークに足下では784基まで減少。
これも、昨年秋の原油の急落が影響しているものと思われます。

シェール企業の平均の採算ラインは原油価格40~50ドルとされています。
昨年の急落で40ドル台へと価格が落ちたものの、その後原油価格は
60ドル台まで戻ってきたのですが、それでも生産量、リグ稼働数ともに
ピークアウトしていることが気になりますね。

原油価格がさらに下がれば、倒産する中小シェール企業が続出すると考えられ
そうなれば米国のシェール生産の増産量が縮小し、
それが原油価格を押し上げることとなるでしょう。

投資不足が原油生産量に響いて将来の原油価格を押し上げる可能性がある
ということですね。これはまだ先の話ですが。
足下はレンジかな・・・

また、原油価格がさらに下がれば米石油関連株の下落圧力が増します。
中小のシェール企業は社債を発行し資金調達をしていますが
シェール企業への投資が冷え込んでいるわけです。
原油価格がさらに下落することでシェール企業の収益が悪化すれば
社債市場がシュリンクする可能性も否定できません。
そもそもシェールの社債って高利回りのジャンク債なのよね。

ジャンク債市場が次の金融危機の引き金を引く可能性もゼロではないと思われます。