日本フィナンシャルセキュリティーズ

冴えない原油相場、フラッグ形成中

サウジアラビア油田への攻撃が週末19日の原油市場での上昇材料となりました。

中東の緊張激化でサウジ油田・インフラが標的に-原油供給リスク鮮明
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-18/PWGBEP6S972801


しかし、実害として原油の供給に障害が起きていないとなると
こうしたニュースは戻り売りの好機ととらえられるだけに終わってしまうのが常。

原油市場は上値の重い展開が続いています。
とはいえ、下落トレンドにあるわけではありません。
典型的な持ち合いでトレンドレス。フラッグ形成中ですね。

※WTI原油日足

WTI▼持ち合い

この三角持ち合いを抜けた方にトレンドが発生するものと思いますが
現状のファンダメンタルズ的に考えれば下抜けしそう、というのが一般的観測。

①需給構造からは弱気

■供給

PPECプラス⇒ 日量120万バレル減産を2020年3月まで継続
       (OPEC80万バレル、非加盟国で40万バレル)
       ~2017年1月から協調減産開始
      
OPEC生産量 ⇒OPEC加盟14カ国の7月の産油量は日量2961万バレル
        ~前月から日量24万6000バレル減少。
        ~サウジ7月原油生産日量965万バレル
          (協調減産開始以降最も低水準)
          
                  OPECプラスの減産遵守率は163%、頑張っているのですが、、、
   
米国産油量 ⇒ 日量1230万バレル 
        ~シェール生産日量877万バレルで過去最高
        
 
OPECプラスの減産を米国シェール生産が埋めてしまう構図。
それでも減産を継続していなければ、原油価格はもっと大きく下落して
いるでしょうから、減産が意味がないとも言えません。

中東の原油シェアを米国が奪う構図がわかっていても、です。
        
       
■需要  IEA月報9日発表⇒1~5月世界の原油需要の増加は前年の約半分
            日量52万バレルで2008年以降で最も低い伸び
    
    OPEC月報16日発表⇒2019年世界原油需要の伸びを日量110万バレルに
            従来見通しから日量4万バレル下方修正      
            ~OPECが弱気見通しを出すのは珍しい

OPECが7月の産油水準を維持した場合、2020年は日量20万バレルの供給過多が発生
してしまう、ということで、サウジアラビアはこの事態に困り果てているようで、、、
減産量を増やして原油価格を支えようと奮闘しています。

7月のサウジの原油生産量は965万バレル減産開始以降最低レベルに絞りましたが
8月と9月の原油輸出量を日量700万バレル以下に抑えるとの意向を明らかにしています。
でも、米国生産が減らなければ、、、そして、世界の需要が伸びなければ
これが価格を支えるとは思えませんね。

ということで、基本の需給構造からは原油価格が上がるとは思えない中、
地政学リスクが時折原油価格を反発させているということで
持ち合い相場になっている、ということでしょうか。


②先物市場のポジション動向からは強気もあり?!

原油先物市場の投機筋ポジションはネットロング38万2000枚程度。
2018年年初には70万枚を超えるネットロングだったことを考えれば
随分ロングポジションは整理された状態であるとも言えます。

また、昨年10月に原油価格は急落していますが、投機家らのポジションは
年初から減少傾向にあり、ダイバージェンスにありました。
ロングを減らしていた投機筋らのポジションが価格の下落を先行していた、
とも言えますが、そのタイミングのずれが半年以上ありましたので
その半年で、売り参戦で踏みあげられて撤退した向きもありますね。
この辺りが相場の難しいところ…。

足下ではポジション動向と価格推移が綺麗に相関しており、
毎週の投機筋のポジションをチェックして、彼らのトレンドに
乗るという戦略もありかな、という気もします。
直近データ-ではわずか(6500枚)にロングが増えているので
これがトレンドになっていけば、、、、
短期的な強気トレンド期待もありかもしれません。

※CFTC建玉ポジション
原油ポジション

③株式下落が懸念材料

※ダウとWTI原油

原油とダウ相関性転換点一致

過去、大底、天井の転換が同日で会ったケースが散見され
米株との相関性の高さがうかがえるのですが
足下では、米株上昇には相関が薄く、下落時には相関が強まる傾向が。

株が大きく崩れてくると原油価格が支えられる気がしません。
一緒に大きく下がるリスクがぬぐえないのですが
米株はここから再上昇できるでしょうか。

7月FOMCで10年ぶりの利下げを実施、9月FOMCでも利下げが100%織り込まれる中で
株式市場が次の利下げ実施までは利下げ期待で押し上げられる可能性は
ありますが、そこで材料出尽くしで崩れてしまうリスクも、、、、。


米株上昇で原油が連れ高となることがあっても
下落時には、原油の下げ幅が大きくなることには注意が必要です。

短期的にはフラッグのレジスタンスに向けて上昇も
レジスタンス付近までで上昇は止まり、、、
その後は売られる展開となるんじゃないかな…。

地政学リスクで吹き上がることがあれば売りの好機、でしょうか。