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中国環境規制強化で供給不足に拍車?!パラジウム高騰の背景

金価格が高値波乱に巻き込まれる中、
パラジウムは安定して高値を更新するトレンドを継続中。

パラジウム価格は現在1670ドル、ゴールドが1500ドルを挟んでのレンジ。
パラジウムがゴールドより高い、価値のある貴金属となっています。

※黄色がゴールド、ろうそく足がパラジウム

 

本格的にパラジウムがゴールドを上回ってきたのは2018年12月くらいから。
2019年はパラジウム高が常態化しています。

そして、このパラジウム高、まだまだ終わりそうにありません。
需給を見ればパラジウムが足りないということが一目瞭然なのです。

これはラジオNIKKEIマーケット・トレンド
JBMA日本貴金属マーケット協会 池水雄一氏にご出演いただいた時に
頂戴した資料です。プラチナとパラジウムの需給推移。
プラチナとパラジウム需給

パラジウムの供給不足状態は過去8年間継続しているのです。

この10年近く、
プラチナもパラジウムも総供給量は200~300トンで大きな変化はありません。

そして、プラチナの需要量もそれほど変化していません。
ディーゼル車の販売不振から需要が減少しているイメージが強いのですが
年間220~245トン程度の需要が10年安定的にあることがわかります。
ただ、供給から需要を引いた需給バランスを見ると
ほぼ均衡しており、供給が不足しているわけではないですね。

一方のパラジウム。
この10年での総需要の伸びをご覧ください。
年々需要が増加、需給バランスも供給不足が年々大きくなっています。

パラジウム需要の80%が自動車触媒。
ガソリン車、あるいはハイブリッド自動車販売が伸びているということでしょう。

パラジウムの世界の供給の80%はロシアのニッケルの副産物と
南アのプラチナの副産物として生産されています。
パラジウムの供給はこの二つのメタルの生産によるところが大きく、
パラジウムの生産を増やすという直接的なコントロールは不可能なのです。

プラチナはその鉱山生産のおよそ70%が南アであるのに対して、
パラジウムはロシア39%、南アフリカ37%でロシア生産が南アよりも多いのが特徴。

また、現実には「パラジウム鉱山」というのは世界に存在していません。
パラジウムの世界の供給の80%は
ロシアのニッケルの副産物と
南アのプラチナの副産物として生産されているってご存知でした?!

プラチナには南アフリカにプラチナ鉱山というのがありますので
プラチナは生産のコントロールが可能なのですが、
パラジウムは、プラチナとニッケルの生産計画次第で
パラジウムが供給が不足しているからといって、
パラジウム自体の生産を急激に増やしたり減らしたりすることは不可能なのです。
生産計画が立てられないということですね。

そんな中、環境配慮から排ガス規制が世界的に強化され、
欧州と中国の自動車メーカーのパラジウム需要が増加傾向にあるのです。

生産はほぼ一定で変化がありません。
副産物ですから増産が容易ではないのです。


中国は主要都市や内陸部で2019年7月1日から
世界最高水準の厳しい排ガス規制の導入を前倒しで導入しました。

有害物質の排出量の4~5割削減を義務付ける厳しい内容で、
深刻な大気汚染の解消を狙うものです。

中国は2001年から排ガス規制を施行しており現在は6段階目となる「国6a」基準。

窒素酸化物(NOx)などの排出量を、これまでの「国5」基準に対し
23年までに段階的に4~5割削減する内容で、
欧州の現行規制「ユーロ6」より厳格な内容です。

対象となる地域の新車販売台数は中国全体のほぼ半分を占めています。


今後は23年7月により厳しい「国6b」を適用する計画ですが
主要都市で「国6a」導入が1年早められただけでなく、
上海や広州など一部の大都市では「国6b」の適用が4年も前倒しされています。

しかも、この「国6a」基準の導入が1年前倒しになっているんですね。
メーカーは新基準での量産体制が追いていません。

足下で中国の自動車販売不振が懸念されており、
これが今後の世界景気後退を先行する指標いなのではないか、
という指摘がありますが
「国5」基準の前の自動車は、新排ガス基準を満たさないわけですから
購入を敬遠された可能性がありますね。

※中国の2019年上半期(1~6月)の自動車販売台数は、
約1,232万台と前年同期比12.4%減と大幅に落ち込んだ。


中国新車販売、14カ月連続減=購入意欲低迷-8月
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019091101226&g=int

8月の新車販売台数は前年同月比6.9%減の196万台にとどまり、14カ月連続で前年実績を割り込んだ。
米中貿易摩擦や景気減速懸念を背景に消費者の自動車購入意欲は低迷しており、経済成長の柱である消費の重しとなっている。

 自動車

最新の8月のデータ-も冴えなかったわけですが
これは、まだ「国6」基準車の生産体制が整っていないためかもしれません。


というわけで、急遽1年前倒しされた環境規制の新基準による
中国の新車の生産体制が整えば、再び自動車販売が伸びる可能性も。

そして、その「国6」新基準の自動車には
パラジウムが使用されるのです。
まだまだパラジウムは上昇が続くでしょう。

でも、相場なので、高値圏では急落することもあります。
買うなら、急落時を狙って。
上がっている時には買うべからず。