日本フィナンシャルセキュリティーズ

膠着する原油相場、12月OPEC総会では追加減産期待も

原油市況はすっかりレンジです。

2018年10月から年末に向けての尋常ではない下落によって
日柄調整を強いられているとみるべきか。

※WTI原油

2018年10月に75ドル台でトップアウトして
12月クリスマスイブの42ドルまでの暴落後、
半値戻りレベルを中心にしたレンジ相場。

いや、半値戻りの59ドル台よりも下で推移している時間帯の方が多いですね。
ただし50ドル台大台を割り込むようなことはなく
レンジ下限では買いが入ってくるようです。

そもそも昨年10月からの暴落の主因ってなんだったっけ、、、と
過去ログ振り返ってみると

原油下落続く、原油価格はトップアウトしたのか 2018.11/2
https://www.shouhinsakimono.com/expert/blog/ohashi/126602/

2018年11月5日が、米国が同盟国にイランとの原油取引停止求める、
米国による対イラン制裁が再開するということで
日量100万バレルのイラン産原油が市場から失われるとの懸念が
相場を支えてきたという事情がありました。

つまり、今後供給が減るぞ!というリスクを先に織り込む形で
原油が75ドルまで上がってしまった。

ところがこの制裁が骨抜きでスタート。
原油高はマーケットの重しになるとして
米国がSPR戦略備蓄を放出し米民間在庫が増えるなどの悪材料が出てきて
一気に買い方の投げがでたという下落でした。
ただ、下落開始したのは10月、イラン制裁スタートが11月ですので
10月の原油のトップアウトの理由としては、時期が合致しません。

同タイミングで、実は米株も大きく下落していました。

※ダウ平均



なぜ?!

2018. 10/2 サウジアラビアのジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が
トルコのサウジ総領事館で殺害されたとみられる事件で
米国が制裁に打って出るという事件も原油市場には嫌気されたとの指摘。

2018. 10/4 マイク・ペンス米副大統領がハドソン研究所における演説で、
中国政府の全体主義的な動きを批判、「断固として立ち向かう」と、
実質的な新冷戦の始まりを宣言した。

おそらく、ペンス副大統領の中国に対するタカ派発言が
マーケットを逆流させたものと思います。

そして、市場はこのペンス副大統領の今週24日の講演にも警戒を強めています。

ペンス米副大統領が対中政策で24日に演説-市場は2018年の再現を警戒
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-19/PZLOMSDWLU6B01

ただし、2018年の演説時は、あのようなタカ派発言が飛び出すとは
予想していなかっただけでなく、米株も原油も高値圏にあったことで
手仕舞いのスパイラルになってしまいましたが
現状では、それほどマーケットは楽観的ではありませんし
ポジションの偏りも見られません。

2018年原油急落時のNY先物市場のファンド筋のポジション動向を確認すると
急落は10月からでしたが、買い越しポジションは
5月から減少に転じていたことがわかります。

原油ポジション

買い残が徐々に減っているにもかかわらず
価格は10月まで上昇を続けた、、、

このギャップは原油とレーダーにとって
大変わかりやすい売りのチャンスでした。

ただ、どのタイミングでそのギャップを埋めに来るかがわからないので
5カ月ほど売り方は踏みあげられ続けたというのが、
価格上昇の背景でもありましたが。

こういう相場でが資金力がものを言いますね(^-^;
踏みが終わればいずれ下がることが見えている相場です。
ただし、価格は上昇し続けていますので売りポジションを継続できません。

そして、現状はそれほど原油先物市場で買いが積み上がっているわけでは
ありませんので、24日のペンス副大統領の演説に驚くこともなければ
ポジションの逆流も起きないでしょう。

では、ここからの主軸のテーマはなんでしょうか。

現在、OPEC加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は
今年1月から日量120万バレルの協調減産を実施中ですが
7月会合で2020年3月までの継続を決定しました。

この減産の枠組みがあっての現在の価格が形成されているのです。
これが継続できなければ原油価格は大きく下落を強いられます。

というのも、需要の伸びは期待できないから・


OPECの10月の月報では
2020年の世界経済見通しが引き下られ、
20年のOPEC産原油に対する需要は今年の水準を下回ると予想しています。

20年のOPEC産原油に対する需要は日量平均で前年比120万バレル減の
同2960万バレルと予想。
サウジアラビアの石油施設が攻撃を受ける前の8月の生産水準を維持した場合、
日量およそ20万バレルの供給超過となってしまいます。
(9月OPEC産油量は前月比132万バレル減の日量2849万バレル。サウジ施設への攻撃が影響)


ということで、原油減産の枠組みのさらなる延長、あるいは追加減産でもない限り
原油価格を維持することは難しいと予想されています。


そんな中で開催される次回12月5~6日のOPEC総会では、
さらなる追加減産があるのでは?という思惑が強まりつつあります。


OPECのバルキンド事務局長は10月10日に、
12月の会合でOPECプラスでの「協調減産の拡大を含む」
すべての選択肢を検討する考えを示しました。

実はこの協調減産の枠組みにロシアは後ろ向きであるとも
漏れ伝わってきますが、ロイター通信が20日伝えたところによると
「ロシアが冬季に備えてガス生産を増やし、
9月はOPECと協調減産で決めた目標水準を上回った」ようです。
ロシアが減産を遵守せず、供給を増やすとの懸念がある中、

協調減産の履行状況を点検している技術委員会が17日、
9月の減産履行率が236%だったことを伝えています。
ということで、全体の枠組みでは減産合意の枠組みは遵守されているのですが

そもそものOPECというカルテルの存続にも不安材料も出ています。
南米のエクアドルは1日、OPECを来年1月1日で脱退すると発表しました。
財政立て直しのために原油を増産したいということですが
2019年1月にはカタールが脱退したばかりです。

減産を継続していては国が持たぬ、、、というところが
ポロポロと抜けていく流れに。。。

来年1月の脱退を発表したエクアドルは1973年にOPECに加盟。
92年に一時離脱後、2007年にコレア前大統領の下で再加盟しています。

エクアドルの産油量は日量54.5万バレル
現状でもエクアドルはOPECで割り当てられた枠の上限を日量約2万バレル上回っており
減産合意を守っていません(;´・ω・)

ただエクアドルの原油生産量はOPEC加盟14カ国では下から4番目で
全生産量の2%弱にとどまっているため、あまり大きな影響がないようです。


とはいえ、今年カタール、来年エクアドルと毎年加盟国が抜けていくようでは
OPECが形骸化していく懸念も。

12月のOPEC総会でさらなる減産で合意したい意向を示したバルキンド事務局長。
ただし、減産によって外貨収入が増やせない加盟国らが
簡単に合意するのかどうか。

12月の総会に向けては、追加減産で合意できるか否かが焦点。
これが原油価格を支えることができるか、下抜けのリスクとなるのか
見極める材料となってきそうです。