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豚コレア拡大で国際ゴム価格上昇のワケ

国際天然ゴム価格が上昇しています。

※TOCOMゴム日足

トコムのゴム
ゴム需要の最大の用途は「タイヤ」です。
2019年は自動車の販売台数、特に中国の販売の伸びが
減少していることからかゴム価格は冴えない局面が続いていましたが、
足下で上昇基調を強めています。

この上昇がなんと「豚コレラ」の影響かもしれないというのです。

ラジオNIKKEIマーケット・トレンドにご出演いただいた
トーキョー・トレーダーズタイムズ代表小針秀夫氏による解説を
是非音声でお聞きください。11月14日放送分Spotifyでどうぞ。
https://open.spotify.com/show/230k9NexbGZ5g1h4uBShSk

小針氏の解説をかいつまんでご紹介しましょう。

中国でアフリカ豚コレラが蔓延。
豚肉価格が急騰し食糧インフレが生じていることが話題となってます。

豚など家畜の飼料となるのはトウモロコシと大豆ミール。
「大豆ミール」は大豆から「大豆油」を抽出した粕を粉砕して
作られた粉末で、加工食品や豚、鶏等の家畜飼料の原料として
使用されます。

抽出された「大豆油」は、揚げ油やマヨネーズ、ドレッシングの
原料となるほかマーガリンやショートニングなど
様々な食品加工品にもなるほか、工業用としても使用されています。
ペイント、ワニス、リノリウム、印刷インキとして使用されるほか、
近年はディーゼルエンジン用の代替バイオ燃料としても需要が拡大しています。

中国は米国から輸入した大豆から大豆油を抽出して
その粕である大豆ミールを家畜の飼料として使用してきました。

ところが、豚コレラの影響で、大豆ミールの需要が激減。
しかし、食用油となる大豆油は必要です。

豚コレラの影響でミールの需要が低下したことから、
中国は「大豆」ではなく「大豆油」を直接
米国から輸入するようになりました。

この流れから大豆油の価格が上昇。

※大豆油チャート
大豆油

しかし中国は、大豆油だけでは国内需要を補えないようで、
パーム油の輸入も増やしているのです。

足下ではパーム油の国際価格も上昇、約1年ぶりの高値へ。
パーム油
国際指標のマレーシア市場のパーム油相場は11月上旬に
トン当り2500リンギ程度と9月末からは15%上昇もの上昇となりました。
中国は昨年10月~今年9月にパーム油を655万トンと
前期比で2割多く輸入しています。


パーム油の生産地はインドネシアとマレーシア。
ゴムの生産地と重なります。
これが、ゴム高の一因であると小針氏。


パーム油は、揚げ油、マーガリンなどの食用として消費されます。
プラスチック原料や洗剤など界面活性剤、バイオ燃料にもなる、ということで
大豆油の代替としても十分に使える植物油です。

ゴム相場を語る際にパーム油相場はよく材料として語られますが、
主な生産地がインドネシアやタイなどゴムの産地と重なることから
産地のゴムの木が老木化しゴム樹液の採取ができなくなったり
ゴム価格が下落し、パーム油の価格が高くなったりすると
ゴムの木を伐採しパーム油の樹木である「油やし」に
転作する動きにつながることから、ゴム相場にも影響が及ぶのです。

ということで、パーム油の価格が高騰すると、
産地農家がゴムを伐採しパーム油生産にシフトする動きが出る、
という思惑につながるためゴム価格も上昇する、というわけ。

まさに風が吹けば桶屋が儲かる、、、ですね。

このまま、米国の隠れQEによる金融相場で株式の上昇が続き、
世界経済の先行き不安、警戒が薄れれば、ゴム価格はさらなる上昇の
可能性が高いものと考えられます。