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WTI原油50ドル台は死守?!ここからの注目点

WTI原油価格、年明け1月6日には65ドル台まで高値がありました。

12月のOPEC総会では減産継続だけでなく、
2020年1月から日量170万バレルの追加減産の枠組みが発表されると
原油売り方が踏まされる格好で上昇しました。
サウジの自主的追加減産まで含めると
2020年1月~3月は実質210万バレルの減産が実施されるというサプライズ。

米中通商交渉は第1段階合意が近いということも原油需要への
安心感につながったことも原油価格を押し上げました。

さらに年初はイランと米国の報復の応酬激化で
ホルムズ海峡封鎖の思惑が原油価格を押し上げましたが、それがピークでしたね。

1月8日のトランプ大統領の声明をもって本格的開戦はないことが明らかになると
一気に原油はレンジ中盤近くまで値を削ったのですが、
その後は、ご案内の通り新型コロナウイルスCOVID-19感染拡大で
中国への渡航禁止措置などでジェット燃料需要の減少リスクが原油価格をさらに押し下げ
レンジ下限であった50ドルを割り込むところまで売り込まれました。

ブルームバーグがCOVID-19の影響で
中国の原油需要が20%(日量300万バレル)減少したと報じて
原油下落が加速しましたが、日量300万バレルって、
リーマンショック後の需要減退時に相当するんですよ。
あの時は原油価格140ドル台から30ドル台に真っ逆さまに下落しています。
足下では、減産と地政学リスクで多少買われていたとはいえ
リーマン前の100ドル超えには程遠く60ドル台でしたので
あの時程の下落率にはなっていませんが。

ところが、足下では50~70ドルのレンジ内回帰。
少し反発してきました。

これは中国が原油安で在庫備蓄手当に動いており、原油を買っているという
報道を好感した他、2月12日に公表されたOPECの月報で
中国を発生源とする新型コロナウイルスの感染拡大の影響を理由に
今年の世界的な原油需要の伸びの見通しを下方修正したことで
かえってOPECプラスが減産拡大へ協調姿勢を強める
との期待が高まったためとみられます。

2月OPEC月報

◆今年の原油需要の伸びは日量99万バレルと予想。
~従来見通しから日量23万バレルの下方修正。

◆今年のOPEC産原油の需要は平均で日量2930万バレルと予想。
~従来見通しから日量20万バレル下方修正。

◆今年の非加盟国の今年の産油量は日量225万バレル増
~従来見通しから日量10万バレル下方修正

足下ではCOVID-19による需要減の影響が懸念される中
OPECプラスの合同専門委員会(JTC)は、
協調減産規模を暫定的に日量60万バレル拡大することを提案していますが
OPECプラスは3月5─6日に予定されている閣僚会議を月内に前倒しすることを
検討しているものの、現時点では何も決定されていない状況にあります。
ロシアが待ったをかけているようですね。

WTI原油50ドル丁度というラインは生産者にも投資家にも
相当意識されてきた節目でしょうから、ちょっと下抜けたとはいえ、
一度は下げ止まって抵抗にあう水準といえましょう。

COVID-19が終息できずに中国経済が停滞したままという状況が
長期化すれば、再下落のリスクも否定できません。
 
中国石油化工集団(シノペック)が
1日当たりの処理能力を約60万バレル削減しており
中国の2月の原油処理量は日量100万バレル以上減少することが予想されています。

中国の1~2月の原油輸入量は3月上旬に発表されるはずですが、
ブルームバーグが伝えた日量300万バレルを超える減少となっていれば
ネガティブサプライズ、50ドルを再び割り込むことも覚悟でしょう。

OPECプラス総会は3月5-6日ですが
中国の原油輸入量が出てくる前かしら・・・?!
更なる減産で歩調を合わせられるのか、
これが期待外れだとリスク大、です。

原油が50ドルを切って下げ止まらなければ
シェール企業らのジャンク債市場にも影響が。
オイルマネーが逆流するリスクもあるでしょうから
米株市場も無傷ではいられない可能性もあると思っております。