日本フィナンシャルセキュリティーズ

ゴールドと原油、逆相関の時代

金が騰勢を強めています。
説明するまでもないですが、COVID-1・新型コロナウイルスの感染拡大を警戒するマネーが
株式市場が下落を開始する前からゴールド市場に流れ込んでいたということでしょう。

※ドル建てゴールド

 金

ゴールドは、低金利化で上昇するという特徴があります。
金利が付かない資産(厳密にいうとリースレートという金利はあるのですが)ですので
金利が魅力の米債などの利回りが低下してくると
金利がないゴールドのデメリットが小さくなるのです。

元来、株式との逆相関が有名なのですが、
昨今の過剰流動性相場では、株も金も高いという相場が常態化。
おまけに、ドル建てゴールドはドル安で上昇するのが教科書的相関ですが
昨今ではリスク回避で基軸通貨米ドルに資金が集中する中、
ドル高でゴールド高となっており、これもまた相関が崩れていました。

綺麗に相関がみられるのは、米金利だけです。

※米長期債利回りとゴールド

金利と金
ね、きれいな逆相関でしょ。
つまり、債券とゴールドは同じ方向に動くってことです。

リスクオフで上昇。シンプルですね。

さすがに米長期債利回り1.37%台にまで落ちてくる異常事態。
史上最低利回りは2016年7月6日の1.32%。これに接近しています。

この米債利回りが反発すれば金も上昇もいったん終了すると思います。
金利がどこで下げ止まり、どの程度反発するのかを注視しましょう。

ただし、株価の下落、米指標の悪化などを受けて
金利先物市場ではFRBの年内あと2回の利下げを織り込み始めました。

市場の織り込みは市場のセンチメントが変わればあっという間にひっくり返るので
一時的な織り込みならあまり気にしなくてもいいのですが
これが当たり前のようになってくると、市場がFRBを催促する相場へと
フェーズが移行してきますので、金利はなかなか上がりません。
金利が上がらないうちは、ゴールドは強気継続です。


一方でWTI原油価格は50ドルの節目を一度割り込んだものの、
①リビア内乱による生産障害
②中国の景気テコ入れ策による景気回復期待
③生産国による減産強化思惑

といった材料が一時的に原油を押し上げ、何とか50ドル割れを常態化させまいと
反発していたのですが再下落中。再び50ドルの節目をテストしそうな流れになっています。

※WTI原油

COVID-19の感染拡大は、先週までは日本のダイヤモンドプリンセス号が
世界の注目を集めて批判にさらされてきましたが
韓国がダイヤモンドクルーズ号含めた日本の感染者数を上回り
イタリアでも感染拡大が確認され、パニックの様相を呈しているようです。
ベネチアのカーニバルはも予定を前倒しして閉幕。
ミラノのオペラ劇場「スカラ座」は公演を中止、
大聖堂ドゥオーモも閉鎖されました。

観光産業は大打撃。
ジェット燃料需要が回復するのは、いつになるかわからない、、、
こうした懸念は原油価格の上値を抑えてしまいます。

COVID-19による原油下落を受けて、産油国らは緊急会合を開きましたが
ロシアが減産に否定的。
とうとう、ロシア抜きで減産強化の検討に入った模様です。

サウジ、ロシア抜きの減産も視野 新型ウイルスで需要減
https://jp.wsj.com/articles/SB12434055387373453952904586217062438238544


・サウジ、クウェート、UAEは日量30万バレルの追加減産を視野に協議
 (OPECの生産能力の5割以上を担う3か国)
・今月の緊急会合では、ロシアがサウジの求める日量60万バレルの
 協調減産幅の上乗せを拒否

・国際エネルギー機関(IEA)は13日、1-3月期の原油需要は
 前年同期より日量43万5000バレル減少する可能性が高いとの見通し
 
・世界最大の独立系石油トレーディング会社ビトル・グループ見通し
 → 需要が日量約220万バレル減少見通し

ということで、OPECとロシアなど非加盟国で協調減産してきた枠組み
「OPECプラス」は崩れてしまうかもしれません。

市場の期待を上回る減産強化で合意できれば
一時的には原油価格も支えられるでしょうけれど
COVID-19が終息しないことには需要の減退が長期化する恐れも否めず。

また、原油価格が50ドルを割り込んでくると産油国の財政悪化はもちろん
米国のシェール企業のジャンク債にもリスクが。。。。

オイルマネーの撤退、ジャンク債市場のシュリンクも懸念されます。

ここはサウジ、ウェート、UAEの減産強化に期待するしかないのですが、、、

元来、景気がいい時はリスク資産である原油とゴールドは順相関。
今は全くの逆相関。世界の景気の見通しは明るくないということです。

※WTI原油とゴールド
原油とゴールド