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原油下落が止まらない?!様々なリスクのトリガーに

ナイジェリア商都で大爆発 油送管に引火15人超が死亡
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200316-00010000-aptsushinv-m_est

新型コロナウイルスと世界の金融市場の暴落に
世間の話題が埋め尽くされており
3月15日に起こったこのパイプラインのニュースは
あまり大きく取り上げられていません。

それに、原油マーケットもほとんど反応しませんでした。

下げ止まらない・・・。
※WTI原油  26ドルって20年前のレベルよ
ETO

パイプライン爆破で供給障害を狙ったもの、ということですね。
地元民が石油を盗んだ事による事故のケースや
テロリストらによる石油施設制圧を狙った攻撃ということもあるんですが、
今回の爆発は、原因が突き止められていないようです。

何故、この記事を取り上げるかって、
原油価格が下がってくると、
パイプライン爆破が増える傾向があるんです。

記憶に新しいのが2019年9月
サウジアラビアにあるサウジアラムコの石油生産プラントを標的として
行われたドローン攻撃によって大規模な火災が発生、
サウジアラビアの石油生産量の約半分、
世界の石油生産量の約5%の生産障害が生じたことによる原油高騰。

ナイジェリアは世界12位の石油生産国で
決して生産量が大きいわけではありませんが
平時であれば、原油市場が反応したかもしれないニュースです。

原油安は中東を不安定にさせるということには留意しておきたいですね。
ある日、大きな生産障害が起きれば猛烈なショートカバーが入ります。
今回のニュースは規模的に、また、時期的に無視されましたが。

足下の原油安はOPEC加盟国とロシアなどの非加盟国の協調の枠組みである
OPECプラスが2017年1月から実施してきた協調減産の枠組みが
2020年3月までで失効することが確定的となったためです。

現状ではOPECプラスは2020年1月から日量210万バレルに減産枠を拡大して
協調減産を実施しるのですが、これがなくなります。

なくなるだけならいいんですけど、
サウジが、、、、増産するっていうんです

ムハンマド皇太子、通称MBSが協調減産強化にロシアが難色を示したことに
キレちゃった、というのが大方の見方・・・
かといって、新型コロナウイルスで需要が激減するだろうことが明白な
この時期に増産するの???

現在、日量970万バレルを生産するサウジアラビアは、
備蓄放出とあわせて4月に日量1230万バレルを市場に供給する事を表明。

これに、当初戸惑いも見せていたロシアも応じる姿勢を見せています。

ロシアは国営石油最大手のロスネフチが4月から生産を日量30万バレル引き上げる方針。

おまけにUAEのアブダビ国営石油(ADNOC)が現在の日量300万バレルから
日量100万バレルを増産する準備があると表明しています。


増産を競ってどうしようっていうの?!
これまで中東産油国が減産してきた分、米国シェール企業が増産しちゃってて
思うように価格を上げることはできませんでした。
それでも下値を支える効果は絶大だったとは思うんだけど、
要するに中東産油国らは、減産することで米国にシェアを奪われてきただけ。

この状況をひっくり返そうってことですね。

しばらく原油安で歳入が大きく減少することは承知の上。
この痛みに耐えて、米シェール産業を潰そうってことかと思われます。

しかし、この記事を読むと、
減産交渉と合意に応じなかったロシアにブチ切れただけ、
って感じもあって、サウジの皇太子エキセントリックというかなんというか。
王族を拘束して覇権強化には手段を択ばない性格。


サウジ、欧州向け原油8ドル値引き ロシアたたきへ:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56915320X10C20A3000000/
~皇太子の気分が高揚していたのかもしれない・・・・はぁ?

この最悪の時期に最悪の決断を下したわけですが
世界経済よりMBSのメンツのほうが重要ということね。


もちろん、この状況では原油価格は下がります。

これが現在のマーケットの混乱をさらに加速させました。


原油安にどんなリスクがあるかって?!

①中東の暴動、革命勃発のリスク

財政難に陥ると歳出を抑えなくてはならず、人々の不安が強まります。
そこへ来て、もし、食糧インフレなどが生じれば
暴動や革命などにつながるリスクが。

アラブの春と呼ばれる革命は、小麦の高騰が引き金となりました。

食糧インフレのリスクもあるのかって?!

サバクトビバッタが中東を襲っています。
ダブルのリスク。

コロナに続くもう一つの危機――アフリカからのバッタ巨大群襲来
https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20200307-00166447/

ただし、本当に暴動や革命が起きれば、生産も止まるでしょうから
供給リスクから原油は暴騰します。

将来の原油高騰を孕む問題です。

②オイルマネーの撤退リスク

原油価格が安くなれば、歳入が減るわけです。
投資していた資産を処分して、国へ戻すレパトリエーションが起きるかもしれません。

オイルマネーと呼ばれる湾岸アラブ産油国が抱える金融資産は
2兆ドル(約210兆円)とも言われています。
ソフトバンクGのビジョンファンドもサウジが出資していることで有名ですね。

③シェール企業の破たんリスク

シェールガス大手チェサピーク、債務再編で助言求める=関係筋
https://jp.reuters.com/article/chesapeake-enrgy-restructuring-idJPL4N2BA1ZL

米エネルギー企業の破たんは、米国株市場にも影響が。

ここ、そもそも長く続く原油安で業績は良くなかったようですけどね。

そして、米シェール企業は高利回り社債で資金調達しているケースが多く
ハイイールド債市場のおよそ10%がシェール関連企業と言われています。

今このハイイールド債が暴落しているんです。
つまり、資金調達が困難になっているということ。

この市場が荒れると、国債にもリスクが伝播する可能性も。
株式市場もですけどね。

ということで、看過できない原油安。

原油価格を戻す目的での、石油施設やパイプライン爆破などが
突発的に起こって、ある時突然急騰することもあるかもしれません。

原油をトレードする際は、そういうリスクにも留意しておいてくださいね。