日本フィナンシャルセキュリティーズ

ゴールド、現物がない?!コロナショックで生じた異変

コロナショックでゴールド市場も乱高下中。

リスクが大きくなった時はゴールド市場は「資金の受け皿」となり
株などを売却してゴールド市場に逃げてくるマネーによって
上昇するフェーズもあるのですが、
そのリスクがあまりに大きくなると、手元不如意となったところが
売れるものは何でも売ってとにかくキャッシュ化しろ!!という
「換金入り」にさらされ下落するということが起こります。

これはリーマンショック時にもみられた値動きですね。
今回も最終的には米国債にまで売りが波及し、
リスク回避初期では米債やゴールドに資金が集中し
米長期債利回りが0.3%台にまで低下したのですが
3月19日には1.27%にまで急騰。

FRBもあっという間にゼロ金利まで緊急利下げを実施し
量的緩和を再開、さらに無制限で購入することを明言。
市場への流動性供給も積極的に行っているため
ドル不足、換金売りというリスクは一服したようです。

VIX指数も低下してきましたね。

しかし、このコロナショックによって
コモディティ市場には様々な異変が生じており、
これはまだ正常化していません。

①金先物価格と現物の金価格の価格差が拡大

スプレッド
23日月曜頃から、2つのチャートの乖離が大きくなっています。

先物価格はCOMEX NYの先物市場です。
現物価格は Spot Loco London,ロコロンドンマーケットの価格。

同じゴールドの取引ですから、取引される場所が異なっても
その価格差はそれほど大きく開きません。

※半年後、1年後と言った先々の価格は、多少高くなる
(順ザヤ=コンタンゴ)ということはありますが、
コメックス先物価格の中心限月は期近物です。
(TOCOM東京の先物中心限月は先限なので逆なんですが)

そもそも、トレーダーらが高い方を売り、安い方を買うという
裁定取引を行って鞘取りしていますので、価格差は開いたとしても
瞬時に埋められてしまうものなのです。

ところが、コロナショックでこの価格差が最大で100ドル程度まで拡大、
足下でも10ドル程度開いたままです。

何故この価格差開いたまま、埋められないのでしょう?!

トレーダーにとってはよだれが出るほど美味しい相場です。
だって、この価格差を狙うだけでほぼノーリスクで儲けられる、
・・・・はずなんです。通常ならば。

ところが、これが今、おそらくできない事態になっているのです。

①欧米のロックダウン。

金融機関従事者がオフィスに行けない事態になっているため
通常にように価格が出せないのではないかということ。

ロンドンがロックダウンに入ったのがまさに3/23です。

②金現物市場の逼迫

イタリア国境に近いスイスの主要精錬所4社中
3社がコロナウイルスの影響で操業停止となっています。

これにより、現物がタイトになっています。
ようするに金の現物がない、ということ。

現物が買えないとなると、、、、
ペーパー資産である金先物を買っておこう!
ということになりますね。

これで、金先物市場に一斉に買いが入った可能性が高い。

もうひとつありますが、
25日に緊急収録した動画で
JBMA代表理事、池水雄一氏が解説してくださっていますので
是非ご覧ください。

ロンドンとNYで金価格が違う!?
~ゴールドマーケット、異常な乖離を徹底解説~
https://www.youtube.com/watch?v=fpHiU4jelS8&feature=youtu.be
ヒロコの投資ゼミナール


③感染拡大防止の移動制限により金現物の輸送ができない

この③の事態が関わっていそうなのがこのニュース。

ロシア、金購入を4月1日から停止-世界最大の買い手
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-31/Q81C89DWX2PU01

JBMA代表理事の池水雄一氏はレポートで
原油の大きな下落とコロナウイルスによるロシア経済の苦境に加え
現物の確実な輸送がままならないことがその理由だと解説されています。

これまでロシアは粛々と米債を処分しゴールドを買い進めてきました。
米国から制裁を受けているロシアとしては
いつ米国に米債を無効化されても不思議はないと考えるでしょう。
米債、ドル資産保有はリスクでしかないのです。
ロシア金準備高

ということで、ロシアはドル資産、米債などを処分し
無国籍通貨とされるゴールドを買い進めてきたのですが、、、

ロシアの金購入も止まるところまで
現物の調達が困難な事態となっているということでしょうか。

ゴールドマーケットには、このニュース一時的にはネガティブに受け止められたようで
3月31日ゴールドは大きく下落しました。
金日足

ただし、ロシア1国のニュースでこのまま下落トレンドが継続するとは思いません。
世界から金利が消失しマネーバラマキに走る中、
ゴールド市場は今後、溢れるマネーの受け皿としてのポジションを
強めていくものと見ております。

ただ、まだまだボラティリティが大きく方向感が定まらないので
ポジションサイズは小さめに、リスクは大きくとらないように。