日本フィナンシャルセキュリティーズ

WTI原油40ドル台へ、売りが危険なワケ

原油価格が堅調に推移しています。

日本はコロナ感染拡大は止まり、経済活動も徐々に戻っているとはいえ
米国や中国も感染第2波拡大への警戒も強まる中、
需要が伸びているわけではないのですが、、、、
OPECプラスの協調減産と米国シェール企業の不採算からの生産減が
相場の戻りを支えてきました。

ベーカー・ヒューズが19日に発表した
米原油生産の掘削設備(リグ)稼働数は前週比で10基減、
こちらは14週連続で減少で生産が抑えられていることが伺えます。

気が付けば4月にWTI原油5月限納会における投げ売りで
-40ドルを示現した時に、最大の売り要因とされた
オクラホマ州クッシング在庫もこの通り、急速に過剰在庫は減少。
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17日発表のEIA米エネルギー情報局の週間在庫統計では
クッシング在庫は前週比5.3%減で6週連続の減少となっています。

季節要因的には年間最大のガソリン需要期であるドライブシーズンを
迎えているということもあって、安価な原油は製油所からの引き合いも
急増し、製油所稼働率も急速に上がったようです。

そんな中にあって、今日飛び出したのがまたもや
サウジアラビアへのドローン攻撃。

イエメンのイスラム教シーア派武装組織「フーシ派」は23日、
サウジアラビアの首都リヤドの国防省と軍の基地に向け
弾道ミサイルとドローン(無人機)で攻撃を行ったと表明しました。

一方、サウジ主導の連合軍は、弾道ミサイル3発を迎撃したと発表。
前日22日にも爆発物を載せてサウジに向かっていたドローン8基を
迎撃した事も明らかにしています。

どうやら、攻撃は迎撃によって回避されたようですが
ここで思い返されるのが2019年9月14日にサウジアラビア東部の
サウジアラムコの石油生産プラントを標的として行われたドローン攻撃。

この時はWTI原油価格は54ドル台から63ドル台へと
窓を開けて上昇したんですよね・・・。

サウジが威信をかけて生産、供給には問題がないと表明
したことで、価格はすぐに下落したのですが。

ということで、中東の地政学は常にリスクを孕んでいます。

それだけではありません。

サウジアラビアは現在1日当たり3000人以上の
新たなコロナ感染者が確認されており
累計感染者数は16万人余りと、中東では3番目に多くなっています。


こうした苦しみの中、サウジアラビアは
生活費手当の支給(予算額266億ドル)を6月から中止しています。

さらに7月から(来週ですね)
日本の消費税にあたる付加価値税を現行5%の3倍の15%に
引き上げる事も決まっています。

コロナ禍で国民の不満が高まっているというのに、、、、

それもこれも原油価格が想定外に下落したため
サウジ財政が火の車となっているせいです。
サウジの財政赤字の対GDP比率は10%をはるかに超えており
3月末の外貨準備高は4640億ドルと
2000年以来の低水準にまで減少しています。

コロナ禍でメッカやメディナなどの聖地巡礼を禁止したことで
観光収入も落ち込んでいる模様。

ということで、先般番組でお話しを伺った
経済産業研究所の藤和彦氏はサウジの政変があれば
原油価格の急騰もあり得るとお話しされていました。

実際2010年12月にはアラブの春と呼ばれる
中東・北アフリカ地域の各国で本格化した民主化運動の
発端となったチュニジアのジャスミン革命が起こった際、
原油価格は85ドル前後で推移していましたが
その後115ドル近辺まで大きく上昇しています。
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ということで、コロナ禍で需要が伸びぬからと言って
上昇トレンドに乗っている原油を値ごろでショートするのは
リスクが大きいと思うこの頃です…。