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「銀」上昇加速、その用途は?!大統領選挙にも注目

一般メディアではゴールドの上昇がフォーカスされがちですが
実は2020年ゴールドよりも大きなパフォーマンスを見せたのがシルバーなんです。

※2020年年初からの上昇率比較
2020貴金属推移

ゴールドよりもシルバーの方が上昇したことは
「金銀比価」(金 ÷ 銀)を見れば一目瞭然。

ゴールドシルバーレシオ((GSR)とも呼ばれるこの指標、
3月16日のコロナショックでの換金売りで何もかも売られた相場で
126倍にまで拡大しました。
直近金銀比価

コロナショック前もずいぶんシルバーは安値に放置されており
70~80くらいまで上昇して推移していました。

投資家らは、ゴールドは買うけどシルバーは買わない。
というセンチメントが長期化していたんですね。

これが、極まったのがコロナショックだったのですが
「125」というのは歴史的な異常値であったため
ここに目を付けた投資家らが殺到し、シルバーが猛烈に上昇。

金銀比価はあっという間に「70」を割り込むレベルにまで縮小しました。

トレーダーにしてみれば美味しい相場でしたね。

美味しい相場というのはマーケットの先行きを予想することなく
「歪み」に注目した裁定取引で鞘を取るというようなトレードです。
予想ではなく、歪みはいずれ是正される、正常化に向かうところを
取っていくという手法ですのが、コロナ禍ではこんなことが
あちらこちらの市場で散見されました。
原油のマイナス40ドルなんてのもそうですが。
ただし、あまりに世の中が激変し市場構造が変わってしまうことも
ないとは言えませんので、そういうトレードも絶対ではないのですけれど…

ちなみに過去45年間の金銀比価平均は「55」
金銀比価50年
さて、金銀比価の行きすぎから投資家らが殺到したシルバー市場ですが、
ファンダメンタルズからの先行き見通しは?

そもそもシルバーについては情報も少なく、
何に使われているかさえよくわからないという声もありますので
簡単な基礎知識を。


【主な用途=需要】

1.エレクトロニクス産業用途

極小サイズの銀粒子を有機溶剤や分散剤などでペースト状にしたものを電子基板上に塗布。
導電性の高い電子回路に使用される。

2018 年の年間需要量は 7,730 トンで工業用需要の 43%を占める。


2.太陽光発電用途

太陽光発電パネルの電極材。
製品への長期保証により長期間リサイクルに還流しないため、需給バランスへの
影響が比較的大きいとされるのだそうです。

ただし、近年は技術革新により単位発電量あたりの銀の使用量は年々減少しています。
2018 年の年間需要量は、2,503 トンで工業用需要の 14%を占める。


3.銀蝋、はんだ用途

銀蝋(ぎんろう)
主に電気管部品やメタライズ処理したセラミックスのろう付けに用いられる。
2018 年の年間需要量は 1,805 トンで工業用需要の 10%を占める。

4.写真用フィルム用途

写真用フィルムの感光剤としての最盛期は1999年。
7,087トンで総需要の約4分の1、工業用需要の 40%を占めていた。

が2018 年の年間需要量は 1,222 トンと工業用需要の 7%の水準にまで減少。
デジカメ、スマホの台頭でフィルム需要は激減しました。


【生産=供給】

中南米の生産量が多いですね。
つまり、新型コロナでこれらの国の生産に影響がでれば
銀価格にも影響するということです。

主要生産国 
メキシコ 23%
ペルー  17%
中国   13%
チリ   5%
ロシア  5%

また、シルバー埋蔵量はメキシコよりも
オーストラリアやポーランドの方が大きいのも不思議。
開発投資がなされていないだけなんでしょうか。

中国が世界の銀鉱石輸入の約8割を占めています。
輸入国トップは中国で80%程度を占めており
次いで日本、韓国がそれぞれ6%程度。

中国は、太陽光発電利用での需要が伸びているようですね。

そして、ここから、ですが。

バイデン大統領候補のクリーンエネルギー政策が注目されています。

7/14、バイデン氏はクリーンエネルギー経済を実現するために
2兆ドル(約214兆円)を投資する計画を発表しました。

税制優遇などで太陽光発電や風力発電などクリーンエネルギーへの設備投資を促し、
発電網による排ガスを2035年までにゼロにすることを目指すというものです。

ここに「5年間に5億枚の太陽光パネルを設置」するという計画があるのです。

金銀比価がコロナ前のレベルにまで修正されてもなお、
シルバーが高止まりしている背景には、次なる材料として大統領選挙での
バイデン勝利シナリオもあるのかもしれません。