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プラチナ上昇の材料となる「水素エネルギー」とは?!

プラチナが上昇してきました。
とはいえ、ゴールド・シルバー・パラジウム等と比較すると

全く以て話にならない割安放置レベルですが

※過去15年のゴールド、パラジウム、プラチナ価格推移 
33
15年前の価格より下に位置しているのはプラチナだけですね・・・
ただし、足元の値動きには注目ですよ。

※この5~6年の値動きは・・・COTポジションに注目!
rrw
COTポジションとは先物市場の建玉です。

赤は売り越し、緑が買い越し。
投機筋が買っているのか売っているのか
その偏りをみることで将来の値動き予想にも使えますが
プラチナのロングが積み上がってきていることがわかりますね。

ETF市場も然り。

北米プラチナETF残高の伸び グレーの山が残高です

北米プラチナETF残高の伸び
そして世界のプラチナETF残高推移
世界のプラチナETF残高

2015年以降、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題から
名だたるディーゼル車メーカーの不正が発覚。
ディーゼル車はクリーンではないとのレッテルが貼られ
その人気が凋落、販売台数が減少するとともに
そのディーゼルエンジン車の触媒としての需要が大きかった
プラチナの価格も下落が続きました。

足元で上昇してきたのは、このディーゼルエンジン車の需要が
回復してきたから、ということではありません。

世界で脱炭素社会に向けてクリーンエネルギー政策が
次々と打ち出されていることが注目されているのです。

今日、その背景と今後について番組でエネルギーアナリスト
大場紀章氏にお話を伺いましたので、まずはこちらをどうぞ。

プラチナ上昇は本物か~FCVと水素社会
http://market.radionikkei.jp/trendplus/fcv.html

中でも「水素社会」と呼ばれる再生可能エネルギー、
排出ガスゼロで注目される次世代自動車の中のFCVの未来が
プラチナに関係してくると考えられるのです。

水素エネルギーは燃焼時に二酸化炭素を出さない
クリーンなエネルギーとして注目を集めています。
ではこれをどのように作るのか?!


①水電解による水素製造

水素製造には様々な技術があるのですが、
CO2が排出されない「水電解」方式が注目されています。
水電解による水素製造の電極にプラチナが使用されます。
電解の過程で触媒として効率的な化学反応を起こし、
商業規模に適する生産量を得るための重要な役割を担っているのです。

※水素製造技術一覧
水素製造一覧

②FCV燃料電池車(水素自動車)に使用

現在のディーゼルエンジン車に使用される触媒としてのプラチナは
1台あたり3〜6グラム程度。

対して新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2008年の報告では
燃料電池車1台に使用される白金量、
小型車(80kw)1台あたり32g
中型車(150kw)1台あたり60g
大型車(250kw)1台あたり150gと推定されています。

先ず
①水電解による水素製造でのプラチナ需要期待

EUの現在の水電解施設では現在は35MW(メガワット)の発電能力があります。
これを今後10年2030年には40GW(ギガワット)= 4万MWまで増やす
計画を掲げています。全エネルギーの32%に相当するというのですから
本気度が伝わってきますね。
現在の試算ではEUと中国の2030年までの目標で
必要な水電解触媒としてのプラチナの量は約18.6トン相当となっています。

現在、年間のプラチナ供給量は200~250トン。
う~ん、10年で18.6トンですから、それほどでも。。。。

ただし、NEDO新エネルギー・産業技術総合開発機構の資料によると
2050年には総エネルギー需要の24%が水素が供給する見通し。
2030年以降もこの計画は続くと思われます。

そして
②FCV燃料電池車(水素自動車)に使用されるプラチナ需要期待

先述しましたように、車種でプラチナ使用量は異なるのですが、、、
間をとって40グラムで計算したお話を
ラジオNIKKEIマーケット・トレンドPLUSで
大場紀章氏に解説いただいていますが、文字に残しましょう。

2019年の世界のFCV車の販売台数は1万台でした。
2020年9月までで、7000台となっています。

40グラム ✕ 1万台 =0.4トン

現在FCV車に使用されるプラチナ使用量は0.4トン程度です。
一方、ディーゼル車の人気凋落となる中、現在のプラチナの
内燃機関車(ディーゼルエンジン車など)の総需要は100トン程度あります。

まだまだFCV車の販売台数が少なすぎるんですね。

ところが、中国、韓国、日本の2030年までのFCV車の販売計画をみると

中国 100万台
韓国  85万台
日本  80万台 =合計265万台!!

これは年間販売台数計画です。

仮に年間265万台の販売計画が達成できたとすると

0.4トン ✕ 265万台 =106トン

現在の内燃機関車需要に相当する量のプラチナ需要が生まれます。
単純にプラチナ需要が倍になるということではありません。
その時にはディーゼルエンジン車は販売停止となっていると思われ、
そのままそっくり水素自動車需要に変わるということかと思います。
それでも、新たな需要があるということですし、
これは年間需要量ですので、FCV車がもっともっと売れれば
毎年毎年100トン以上の需要が発生するということですから
長期的には非常に大きな需要となっていくと思われます。

ただし、本当に後10年でこの計画が達成できるのか?

大場氏によると、中国は7月からFCV車販売の補助金をカットしています。
これまで1台あたり300万程度補助していたのですが、、、、
2019年の1万台野のFCV車販売のうち4000台が中国でした。
補助金カットで中国需要が減少していることが今年の販売減に
つながっているものと思われます。

日本では今年9月までに340台しか売れていません。
ただし、20年度第3次補正で次世代自動車購入の補助金UPが
決まりました。

プラグインハイブリッド車(PHV)20万円→40万円
燃料電池車(FCV)225万円→250万円
EV購入補助金最大80万円→現行40万円の2倍

FCV車購入には最大250万円の補助が!
これで日本も販売台数が伸びるものと期待されます。

そして韓国。

実はアジアのFCV車を牽引しているのは韓国なんです。

2020年9月までの販売7000台のうち4500台が韓国。
実に6割が韓国での販売なのです。現代自動車。

これにもワケがあって、、、補助金ですね。

現代自動車のFCV車は900万円ほどするそうなのですが
諸々積み上げると500万円もの補助金があるということのようです。
となると、、、現在のトヨタのMIRAIより安く買える?!

ということで、韓国が牽引するFCV販売。
まだ補助金頼みの側面が強く、これを長期継続できるのか、
そして本当に10年後に265万台も売れる時代となっているのか、
このあたりがプラチナ市場にとっても大注目ですね。

音声で大場氏の解説を聞きたい方はこちらからどうぞ。
http://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-20121501.mp3