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原油市場はまだイラン産原油の生産・輸出を織り込んでいない?

原油が強いです。
三尊天井形成か、なんて思って見ていましたが
一目均衡表の雲に弾かれて上昇し、そのパターンはなくなりました。
原油
ただ、今夜4月20日は下落していますね。
Bitcoinが崩れてきているというのもなんだか不穏なムードですが、
原油はまだ崩れた、というチャートではありません。

今日の下落はともかく、ここまで何故強かったのか。
だって、5月からOPECプラスは減産量を縮小するのよ(増産)

足元の原油高は需要回復期待。
ワクチン普及で世界の石油需要が
大きく回復するという見通しが出てきたからかと思われます。

IEA、今年の世界石油需要見通し引き上げ-米中の成長強まる
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-04-14/QRJNOJDWX2PU01
・今年の石油消費増加を日量23万バレル上方修正し570万バレルに

OPEC、21年原油需要見通し引き上げ コロナ危機緩和期待
https://jp.reuters.com/article/oil-opec-idJPKBN2C027E
・今年の原油需要、日量7万バレル上方修正し前年比日量595万バレルに
 
IEA国際エネルギー機関と
OPEC石油輸出国機構は毎月中旬くらいに月報を出します。
4月の月報で両者ともに今年の原油需要が増えると上方修正したんです。

たしかに、米国や英国、そもそも感染爆発を抑え込んだNZや豪州などは
経済正常化に向けて大きく動き出していますが、
経済協力開発機構(OECD)全体の商業用原油在庫は
ようやく5年平均の水準に戻ってきたところで
「余剰感が解消された」だけで需給がタイトなわけではありません。

黒のラインが過去5年平均、黄色のラインがOECD在庫推移
oecd

ただ、このままのペースで需要が回復すれば、在庫は更に減るでしょうから
原油高の材料として原油の在庫水準の変化を関係者は皆注目しているんですね。

そもそもの原油価格を占う上で注目される材料の基本は需給。

1 供給

・OPECプラスの協調減産計画とその遵守率
昔は減産計画を守らぬ国があったものですが
コロナ禍の遵守率は高く、協調減産が価格押上効果を強めています。

・米シェール生産
環境規制が世界的に厳しくなる中、
シェール産業には資金が流れて来なくなりつつあります。
資金繰りに苦労すれば新規設備投資などできませんね。

というわけで原油価格が上昇してきているのですが
米シェール企業による原油生産回復は鈍く。
もとには戻らないと見られます。

2 需要

・世界景気とコロナ
世界中を飛行機が飛ぶコロナ前の経済が戻れば
需要は更に伸びるとおもわれ、シェール生産が戻らぬ中では
原油価格が上昇を続ける可能性もあります。

・ただ、変異種の拡大は日本の再度(東京3度目)の
緊急事態宣言を強いるリスクとなってきていますが、
インドの感染爆発は尋常ではありません。
インドの石油腫瘍にも陰りが出てくる可能性も。
インドは中国、米国に次ぐ世界第3位の石油消費国です。
https://www.investindia.gov.in/ja-jp/sector/oil-gas

そして、ここからのリスクシナリオを記しておきましょう。
イランの原油生産量が非公式にかなり戻っているというお話。

2018年5月、米トランプ大統領は核合意脱退を発表。
対イラン制裁再開を表明、 2019年5月イラン産原油全面禁輸へ。
同盟国にもこれに準じる要請しました。
制裁を受け、イランの原油生産は半減。

2018年4月日量365万バレル 
⇒ 2020年4月日量196万バレルまで減少。

生産の減少は輸出が禁じられたためで、輸出量も激減。

ttttt

JOGMEC 米経済制裁下でのイラン石油産業の 取り組みと今後のゆくえより

2020年4月の輸出量は日量240万バレル
これが2020年11~12月には日量20万バレルまで減少したと推測されています。
これは1980年代初頭以来の最低水準。

ただし、これは公式なOPEC統計。

闇輸出してるんです。。。

エネルギーアナリスト大場紀章氏のツイート
https://twitter.com/nuribaon/status/1384351148325277699
大場

なんと3月には日量100万バレルも輸出しちゃってたりして
随分イランの生産は戻っていることが伺えます。

さらに、バイデン政権誕生で米国がイラン核合意に復帰する見込み。
イランへの制裁が解かれる可能性が大きく、
その際にはイラン産原油は公式に世界に輸出されます。

イランの原油生産量は世界第5位ですので
その存在感は非常に大きいですね。

現状ではすでにかなり回復していると見られるイランの原油生産と
非公式の輸出に関してマーケットはほぼ織り込んでいませんので
これをいつ、どのような形で織り込むのかが気になりますね。

足元の原油市場は、上に行きたがっているように見えますが・・・。