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鉄鉱石 木材 コーン急落!その理由とコモディティスーパーサイクル

前回のブログ(コモディティのスーパーサイクルは本物か?)で
21年から過去100年で5回めとなるサイクルが到来した説に対し、
コモディティ先物市場のイールドが極端な逆ざやであることから
短期的な事象である可能性が高い、と書きましたが、
いくつかの市場で上昇相場がトップアウトしたような兆候が。


◆鉄鉱石先物が大幅安-中国の主要鉄鋼生産拠点、高騰抑制を強化
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-05-14/QT318BT1UM0W01

中国の大連商品取引所は6月、9月、10月、12月
および22年1─4月に期日を迎える鉄鉱石先物の必要証拠金と
値幅制限を11日から引き上げました。

上海取引所はは鉄筋と熱延鋼板コイルの10月限の
ポジション解消手数料を11日からこれまでの無料から
取引総額の0.01%に設定すると発表。

要するに、中国当局が高騰するコモディティ市況の沈静化に動いた
ということでしょう。先週11日、先物市場の売買にかかるコストを
引き上ることを決定しました。

これを受けて鉄鉱石価格はご覧の下落です。
鉄鉱石

それから木材先物市場もトップアウトしたようです。
木材は5日続落となりました。
木材

◆Why Lumber Trader Stinson Dean Says the Great Short Squeeze Is Over
https://finance.yahoo.com/news/why-lumber-trader-stinson-dean-164741704.html

・21年のランバースクイーズ(終踏上げ)は終了。
・これまで木材店と住宅建設業者の契約が履行できないほどの需要で
 価格に糸目を付けずに購入せざるを得なかった。
・現在はホームデポ、ロウズなど大型点の在庫は潤沢。
・先物市場のショートはなくなりロング方向へ

こちらは、特にトリガーとなる材料はないのですが、
どうやら踏み上げ相場が一巡したところで冷静になってみると
意外と小売店に在庫があるじゃん、ってことみたい。

この記事からは木材市場はトップアウトしたように読み取れます。

木材の需要が強いのは事実ですが、
記事によると木材の生産量も増え続けているようで
供給サイドも動き出していると書かれています。

この一つの記事だけで判断するのもなんですが、
再び高値を更新するような相場には戻らないような気がします。

そして、トウモロコシ相場も比較的大きめの下落となっています。
コーン

USDA米農務省が月に一度発表する需給報告で
新穀の期末在庫が予想を上回っていたことを嫌気したと見られます。

トウモロコシは毎年作られます。

生産のサイクルは4月~5月に作付けされ、7月の受粉期をこなして
8~9月に成熟し9~11月に収穫されるというものですが、
トウモロコシ相場は8月がその年度の期末とカウントされます。
これを穀物年度末と呼びます。

期末在庫率は8月末の在庫が年間需要の何%をカバーできるか表す指標で
仮に期末在庫率が 20%とすると、365日×20%=73日分の在庫を抱えている
ことを意味するものです。

トウモロコシの場合、15%を割り込むと需給ひっ迫と見るのですが、
旧穀、つまり20-21年度の期末在庫が8.5%と予想を超える少なさで
かなり在庫を取り崩していることが明らかとなったのですが
新穀である21-22年度の期末在庫率予想が10.21%と予想よりも多かったことで
(それでも通常の期末在庫率より低いと思うのですが)
どうやらファンドの手仕舞いが入っているようです。

先物市場ではファンドがパンパンにトウモロコシをロングしています。
50万枚もネットロング状態。今GOLDのネットロングは17万枚程度よ。
これが逆回転したら価格はかなり修正を迫られると思います。
USDAの需給報告はそのきっかけを作ったのかもしれません。
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まだ、銅価格は小幅下落の水準にとどまっていますし
すべてのコモディティが崩れてきたわけではありませんが、
今回急落した市場は投機マネーによる価格吊り上げがあったことは否定できません。

鉄鉱石は証拠金引上げで崩れましたし
木材はスクイーズ一巡で下げだした。
そしてトウモロコシのネットロングは空前の規模。

やはり、FRBがインフレは一時的だとしてスタンスを変えずに
緩和継続の姿勢を見せているのはこういうことかもしれません。

つまり、コモディティのスーパーサイクルと呼ばれるような
本質的なインフレとは異なる上昇要因によるものだったのでは?ということです。

確かに4月のCPIの上振れも大きくて驚きましたけれど、
これも給付金効果によるところが大きいと思われ、
給付金は当面出てこないとなれば、物価上昇は沈静化するかもしれません。

鉄鉱石や木材、トウモロコシなどの価格が一時の調整で終わり
再上昇できるのか?それともこのまま崩れていくのか、注目ですね。

先週はCPIのサプライズ上昇もありましたが、米長期金利も意外と上昇せず
週末にかけては低下してきていることから、ここからGOLDが面白いかもしれません。
金200日移動平均線と上値レジスタンスを抜ければ新たな上昇トレンドのスタート。
米長期金利次第では。今回のトライで上に抜ける可能性も大いにあるでしょう。