日本フィナンシャルセキュリティーズ

高止まりの原油、FOMC受けてドル高でも下げないワケ

貴金属や銅、穀物などコモディティが急落しています。

銅価格は中国当局による価格抑制策などを受けて先行して下落していましたが
GOLDは明らかに6月FOMCを受けて急落しています。

これまで2023年末までゼロ金利政策が続くとしていたFOMCが
2023年には2回の利上げを見込むとタカ派に豹変。
これを受けて為替市場ではドルの巻き返しが起こりドル急伸。
ドル高は国際商品価格を下落させます。
物の値段は通貨が安ければ上がり、通貨が上がれば下落します。
ドル高となったことで商品価格は下がる、ってことで
GOLDの下落はドル高によるもの、至極きれいな逆相関ですね。

※GOLD下落、DXY(ドルインデックス上昇)

しかし、原油は下がりません。
高止まりのままです。
ドル高なのになぜ原油は下がらないのか?!
※WTI原油とDXY

①需給は引き締まっている?!

米国では夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期に入っており
製油所での原油生成処理が進んでいるようです。
米国の原油在庫はご覧の減少傾向。

※米国原油在庫(雲は過去5年平均)
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ドライブシーズンと、ワクチン接種が進んだことで
これまでの自粛が解け米国民が動き出した時期が重なったことで
ガソリン価格も上昇しており、需要が旺盛ということでしょう。
※ドル建てガソリン先物価格

②IEAのネットゼロレポート
https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050
「今後石油を含む化石燃料の新規投資は全く必要ない」
「2035年以降ガソリン車の販売はない」

5月18日にIEA国際エネルギー機関が公表した
ネットゼロレポートが各所に大きな影響を及ぼしています。
このレポートを引用する形で、活動家らが石油生産者にたいし
圧力を強めているのです。

◆エクソンモービルの株主総会では
脱炭素化を求める活動家株主側から
取締役会に3人が就任する事態に。
わずか0.02%の株主であるエンジンNO1による提案が通った形。

◆シェブロン
株主総会で自社製品を使う他所の排出量削減を求める提案が
61%で承認。これはシェブロンが売った石油製品が
どのように使われたを追跡し、その先で排出された排出ガスまで
シェブロンが責任を持て、ということ。
「スコープ3」は販売先のCO2排出量まで責任を持つという考え方ですが
これが主流となりつつあります。

◆ロイヤル・ダッチ・シェル
オランダ裁判所がシェルに対し2030年までにCO2を45%削減するよう
「判決」を出した。シェルは上訴する予定。

IEA「石油投資ゼロ」が衝撃なワケ(大場紀章氏)
https://news.yahoo.co.jp/byline/obanoriaki/20210527-00239752/

石油上流部門への闘志は2015年からすでに減少に転じており
その影響がで始めるのが今くらいからとされています。
そこへ脱炭素政策によってさらに石油会社への投資が鈍ると考えられ
石油の安定供給への懸念が高まる一方です。

③イラン大統領選、イスラエルネタニヤフ首相退陣

イラン大統領選、保守強硬派のライシ師が当選
https://www.bbc.com/japanese/57542867

ライシ師は88年、4人で構成される「死の委員会」の一員として、
最大5000人に上る政治囚の集団処刑を監督したとされる人物で
米国の制裁対象に指定されています。
核合意については前向きに話合うスタンスを表明していますが
「核合意をアメリカによる恐喝の手段にはさせない」とも発言しており
過度な要求には応じない立場も示しています。
選挙前のロウハニ政権よりも米国にとっては話合いを潤滑に進めにくい相手で
あることには違いないと思われ、
早期に核合意によってイランへの制裁が解除され、
イラン産原油が市場に出てくる可能性が後退した、というわけです。

また、イスラエルでも長期政権を指揮してきたネタニヤフ首相が破れ
連立政権が誕生していますが、まずは最初の2年間は
ネタニヤフ前首相よりもタカ派と言われるベネット党首が首相を務めるとかで
(8政党の輪番制って、、、そんな政権あり?!)
さっそく、新政権はガザ地区を空爆。

イスラエル新政権 ガザ地区を2日続けて空爆 緊張の高まり懸念
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210619/k10013092481000.html

タカ派のイスラエル新首相とイラン大統領の誕生で
イスラエルとイランの衝突を懸念する声も出始めています。

イスラエル ラピド外相 イラン大統領選で当選のライシ師を非難
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210620/k10013094181000.html

中東、偶発衝突の懸念 イラン大統領に強硬派ライシ師: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB186J20Y1A610C2000000

中東情勢に不測の事態があれば原油生産への影響が。。。

というわけで原油が下がりにくくなっているものと考えられます。
金融要因からはドル高で原油も相応に下げてもいい局面ですので
上値追いは禁物ですが、急落があれば買いたい向きも多いでしょう。