日本フィナンシャルセキュリティーズ

OPECプラス増産でも下がらぬ原油~GS100ドル予想

原油がOPECの増産合意でも崩れません。

OPECプラスは20年5月に日量970万バレルの協調減産で合意。
協調減産で生産量を絞ることで原油価格を支えてきました。

コロナ禍、3月のOPECプラスの総会で減産の話し合いがまとまらず
サウジアラビアが怒りに任せて増産を表明したことで原油価格が暴落。
マイナス40ドルという歴史的価格を示現するも、トランプ大統領が介入し
OPECプラスは協調減産で合意、これが現在までの原油高の原動力となっています。

21年5月のOPECプラスで、
原油価格が上昇してきたことから5~6月日量35万バレル、
7月さらに40万バレルの減産枠の縮小を決定。

減産枠縮小って言い方、紛らわしいんですが、増産ってことです。
ただし、全体で見れば協調減産は続けています。

というわけで5月のOPECプラスで増産が決定しても
原油価格hあ多少の押し目を形成しただけで崩れることはありませんでした。

そして、今回7月のOPECプラス総会では話合いがまとまらないことが
報じられ高値圏で乱高下する局面がありましたが
結局増産が決まると、原油価格は一時手仕舞い売に押されましたが
再び反発基調に入ってきています。

徐々に増産しているにも関わらず、原油価格が下がらない背景には
コロナ禍からの脱却もあり、原油需要が伸びてきていることから
需給が緩まないためです。米国の原油在庫は減少の一途をたどっています。

※米国原油在庫推移 
U.S. crude oil stocks graph

では、米シェール企業が生産量を増やせばいいではないか。
多少は増えてきました。それでもコロナ禍依然の生産量には及びません。

※米国原油生産量推移
dddd

米シェール企業には簡単に生産量を増やせないワケがあるんです。


①シェール生産シェア拡大より生産性を重視

シェール企業への投資家らはシェール革命ではイケイケドンドンで
採算度外視でシェール開発を広げシェア獲得に勤しんできましたが
コロナ禍、生産性の向上に投資スタイルをスイッチ、
儲かる油井に投資を集中させています。
赤字体質にあったシェール企業も財政規律を厳格化させているのです。

昨年原油価格がマイナスになるなど、あまりの原油価格のボラに
投資からも投資に慎重になったということでしょうか。

利益が出ない生産性の低い油井は再開できず、
また新たなシェール開発投資も進んでいません。

またバイデン政権下、米国も脱炭素政策に舵を切りました。
石油産業への投資が細るのは目に見えています。

②シェール企業は自らのヘッジ玉に苦しんでいる

上半期のシェール生産原油のおよそ30%が55ドル程度で売りヘッジを
かけているのだそうです。原油価格は7月76ドル台まで上昇しましたね。
つまり、ヘッジをかけた企業は20ドル分損していることになります。

もちろん、シェール企業のすべてではありませんし
企業によってヘッジのかけ方は様々ですが、
生産量の3割にも及ぶ原油が55ドルで売られる先物契約をかけている、
となると単純計算でシェール企業全体では75億ドルもの損失になるようです。
特に上場企業はヘッジ率が高いようですね。

ヘッジ売りなど入れなければ、75ドルで売れたものを
55ドルで売るしかないわけですが、なんでそんなことになっているの?

これも財政規律を重視しようとした結果です。
昨年原油価格はマイナス40ドルというとんでもない価格を示現しました。
この価格は瞬間ではあったものの、その後原油はリバウンドしても
30ドル半ばから40ドル台のレンジに低迷し続けました。
11月以降、ワクチン相場で上昇相場が始まったのですが
いつまた、変異株が拡大しロックダウン強化など
経済が後戻りするかわかりません。

ということで、株主等がヘッジすることを求めた結果なんですね。

ところが実際には現物をそのまま原価で売るほうが
儲かった相場だったわけです。ヘッジコストから相場が乖離すればするほど
損失は大きくなるというわけね。
この失敗からシェール企業は投資も増産もできずにいるというわけです。

つまり、原油の価格決定権は米国にはないということです。
OPECプラスによる生産調整で
原油価格がコントロールできる時代に戻ってしまいました。
そもそも産油国は脱炭素なぞ関係なしに生産を続けるでしょう。
儲かる価格に導きながら・・・です。

シェール革命とはなんだったのか。
トランプ大統領時代はこの産業を守ろうとしていましたが
米国は政権が変わると政策も真逆に振れますね。

ゴールドマン・サックスは原油100ドル上昇を唱え始めました。
このまま原油は高止まりが続きそうです。

OSE提供のラジオNIKKEIの番組で
エネルギーアナリスト大場紀章氏に解説いただいています。
音声でもぜひお聞きくださいね。
http://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-210720.mp3