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米7-9月GDP成長+2.9%の3分の1は大豆輸出~中国爆買いが米指標を動かす

先週末の米7-9月期GDPの数字が、4-6月の+1.4%から大きく伸びて+2.9%と
なったことが話題。長くいこと2%を下回っていた米国成長率が一気に3%に
近づきました。これ、一見凄くいい数字ですよね。

ところが、これを受けてのドル買いはあまり続かなかった。
(クリントンメール問題再燃という別要因もありましたが)

というのも、よくよく中身を精査すると、これ、一時的なものじゃないの?
という疑念が生じてくるのです。

輸出が+10%も伸びていた半面、個人消費などが冴えない。
この輸出分だけで1.17%を占めているのです。

そして、この米国輸出が伸びたという背景には「大豆」がありました。

アルゼンチンとブラジル産の大豆が不作に陥ったことで、
米国産大豆需要が伸びた、と解説されています。

ではここで大豆の基礎的なファンダメンタル(2015年時点)

①生産量
1位 米国 (32%)
2位 ブラジル (31%)   
3位 アルゼンチン(19%) 
上記3か国で世界全体の80%を占めています。


南米は南半球のため、米国とは生育サイクルが逆ですが、
ポイントは南米では大豆生産は年に2回できるということ。

ファーストクロップ、セカンドクロップと呼びますが、

①ファーストクッロップ 10-12月作付け 3月収穫終了 
②セカンドクロップ   1-3月作付け 8月下旬収穫終了

近年ではファーストクロップよりセカンドクロップのほうが
生産が伸びているのだそうです。

現在10月は南米産はファーストクッロップの作付期にあたります。

つまり、「南米の天候不順により米国産大豆の輸出が伸びた」という
GDP算出に寄与した7-9月期の大豆ですが、確か今年春先はエルニーニョの
影響で南米産大豆生産エリアが多雨の影響で減産になるとかなんとか
言ってたから、、、この時の影響で南米産大豆が上がってしまった?
ということだろうか・・・?!
それとも、8月下旬に収穫されたセカンドクロップの干ばつ懸念に
よるものだろうか・・・。

う~む。どの天候不順が影響して、南米産大豆価格をどのように動かしたか
というデーターに乏しく、はっきりわからないのですけれど、
とにかく、中国としては南米産を輸入するより、米国産を輸入する方が割安となった、
ということだけは間違いないと思います。

ちなみに、GDP算出期間にあたる7-9月期は米国産大豆は6月天井で下落の一途。
底練り期間に入っていましたので、価格が下がる相場で
せっせと中国が大豆をかっていた、ということですね。

今年の米国産大豆は、6月にエルニーニョによる天候リスクで
生産高が減少するという思惑で、ひと相場(まさに天候相場)を演じた後
天候リスクが全くなかったことで急落し、豊作を織り込む形で
安値が続いた、というチャートでした。

*米国産大豆日足チャート
大豆

このところは金が下がったことで中国が動き始めたと聞きます。
彼ら中国勢は高いと買わない。(平気で米国の輸出予約とかキャンセルする)
安くなると猛烈に動き出すという特徴があります。

大豆も備蓄に回しているものと思われますが、
賢く安値で出てくるのが特徴ですね。

あ、完全に米国輸出が増えたのが中国と決めつけて書いちゃってますが、
世界の大豆消費量第1位は中国なので、間違いないでしょう。
2位はアメリカ、3位はブラジル。
生産国自身が消費国トップシェア60%を占めています。

というわけで、豊作を織り込む過程で安くなった米国産大豆へと
シフトした中国の爆買いが、米国GDPを押し上げたとみられ、
今回のGDPの伸び率の3分の1が大豆効果によるもの、という指摘があるほど。

つまり、この数字は長期的に続くものではなさそうということね。
こうした中国の買いによって米国産大豆が上昇すれば
中国はあっさり安くなった南米産にシフトします。そういう国です。
大豆価格が下がったことが米GDPを押し上げたとも言えますね。